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リトアニアとキプロスとメキシコで51試合──WNBA未出場のまま1年を過ごしたグリーンを、9連敗中のテンポが育成契約で迎えました

 

トロント・テンポが、ガードのゼイ・グリーンと育成契約を結んだことを発表しました。現地時間8月11日、日本時間では12日未明の発表です。WNBAでの公式戦出場はいまだにゼロ、直近の1年間はリトアニア、キプロス、メキシコを渡り歩いていた25歳でした。9連敗中で10勝22敗という拡張1年目のチームが、シーズン終盤に空いた枠へ誰を入れるのか。その答えが海外を転々としていたガードだったという事実に、いまのテンポの現在地がよく表れていると感じます。

3か国51試合で平均12.4得点、ボールを運べるガードという条件

グリーンがこの1年で在籍したのは、リトアニアのキビルクスティス・ビリニュス、キプロスのAEL、そしてメキシコのアデリータスという3クラブです。この3か所を合わせた51試合で、平均12.4得点5.5リバウンド4.1アシスト1.1スティールという数字を残しています。

注目したいのはアシストの4.1という数字です。得点の12.4だけを見れば海外リーグではよくある水準ですが、リバウンド5.5とアシスト4.1を同時に積んでいるガードは、ボールを持って試合を組み立てながら、サイズのミスマッチにも対応できていたことを示します。テンポがこのタイミングでガードをもう1人足した理由を考えると、この数字の配分は偶然ではないはずです。

経歴も相当に特殊です。グリーンはNCAAでテネシー大、テキサスA&M大、アーカンソー大パインブラフ校、アラバマ大と4つのプログラムを渡り歩き、2025年のWNBAドラフトでは3巡目全体32位でワシントン・ミスティックスから指名されました。ただ、そこから公式戦のコートには一度も立てないまま1年が過ぎていました。

10勝22敗、9連敗、そして6月16日から止まったままの看板ガード

受け入れる側のテンポの状況も確認しておきます。チームは現地8月10日にアトランタ・ドリームへ95対107で敗れて9連敗となり、成績は10勝22敗となりました。拡張1年目という事情を差し引いても、プレーオフ争いからは大きく離れた位置にいます。

サンディ・ブロンデロHCは、この敗戦の後に「107点も取られるわけにはいきません」と語りました。勝敗の理由を守備にはっきり求めたわけです。そしてその守備の中心であるはずのブリトニー・サイクスは、足底筋膜炎のため6月16日を最後に戦列を離れたままで、TSNは復帰が近いと伝えています。

つまりテンポは、看板ガードを欠いたまま失点の問題を抱えて連敗を重ねてきたことになります。この文脈に置くと、海外で平均4.1アシストを記録していたガードの追加は、派手さこそないものの筋の通った動きに見えます。

「12試合」という上限が意味するもの

ここで押さえておきたいのが、育成契約という制度そのものです。WNBAの育成選手は、12人のアクティブロースターとは別に各チーム最大2人まで保有できます。ただし出場できるのはレギュラーシーズンで12試合までで、プレーオフには出られません。さらにチーム単位でも、シーズンを通じた育成選手の登録は24回までと決められています。

この上限は、グリーンにとって残酷でもあり、同時に公平でもあります。プレーオフに出られない以上、今季の順位を動かすための補強ではありません。テンポが見ているのは来季以降であり、グリーンに与えられた12試合は事実上のトライアウトです。逆に言えば、拡張チームでロースターがまだ固まっていない今こそ、この枠から定位置を掴む余地が最も大きいタイミングだとも言えます。

大学で4校、指名を受けてからの1年で3か国。ここまで動き続けてきた25歳が、ようやくWNBAのコートに立てるかもしれません。数字の規模としては小さなニュースですが、ひとりのキャリアの重さで言えば決して小さくない一報だと思います。

テンポとグリーンをこれから追うために

当面の見どころは、サイクスの復帰時期と、グリーンがどのタイミングで試合に登録されるかの2点です。育成選手の登録は試合ごとにチームの裁量で動くため、契約したからといって出場が確約されているわけではありません。最新の出場可否については、テンポの公式発表とWNBA公式の試合前レポートを確認するのが確実です。今回の一次情報はTSNの報道で読むことができます。

引用:https://www.tsn.ca/wnba/article/tempo-sign-g-green-to-developmental-contract/

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