現地8月13日、ニューヨークで行われたリバティ対スパークスは、85-81というスコアだけでは何ひとつ伝わらない試合になりました。第4クォーター序盤に28点差をつけられていたスパークスが21点を連取して土壇場まで詰め寄り、リーグ史上最大の逆転劇にあと一歩まで近づいたのです。ところが、その反撃の号砲を鳴らした当人は、決着の場面でコートにいませんでした。キャメロン・ブリンクが頭にタオルをかけた状態で付き添われ、ロッカールームへ下がっていったからです。会場の熱狂と不安が同時に膨らんだ、後味の落ち着かない夜でした。
反撃の起点をつくった直後に、コートへ倒れ込みました
流れが変わった場面を細かく追うと、ブリンクの存在の大きさがよく分かります。リバティは第4クォーター序盤に69-41とリードを広げ、勝負は完全に決まったように見えていました。そこからスパークスが21点連取で襲いかかるのですが、その起点になったのが、ブリンクがブレアナ・ステュワートからオフェンスファウルを誘ったプレーでした。
AP通信によると、ブリンクはこのファウルを取らせる際に腹部付近へ衝撃を受け、数分間コート上に倒れ込んだまま動けませんでした。その後、頭にタオルをかけた姿でロッカールームへ付き添われ、試合には戻ってきていません。さらに、その数分前にはチームメイトのレイ・バレルと頭部を強打する接触もあったと伝えられています。
試合そのものは、残り26.6秒で82-79という一点差圏内の攻防になりました。バレルが残り22秒にリバースレイアップで1点差に迫りましたが、サブリナ・アイオネスクが残り14.8秒からのフリースローで突き放し、アリエル・アトキンスの3ポイントが外れて決着しています。2022年にスカイがエーシズ相手に決めた28点差の逆転がリーグ記録ですから、スパークスはそれに並ぶ寸前まで来ていたことになります。バレルはキャリアハイの28得点でした。
ドラフト2位から3年、通算58試合という重さ
2024年のドラフト全体2位でスタンフォード大から入団したブリンクは、これまでのキャリアが負傷と切り離せません。ルーキーイヤーは15試合で前十字靭帯を断裂して終わり、翌2025年も19試合の出場にとどまりました。バスケットボール・リファレンスの記録では、3年間の通算出場はわずか58試合です。
だからこそ、今季の数字は明るい材料でした。24歳の今季は24試合で平均9.1得点4.8リバウンド1.6ブロック、フィールドゴール成功率49.0%はキャリア最高です。実効フィールドゴール率55.6%、トゥルーシューティング60.2%という効率は、ルーキー時の39.8%という数字を知っている人ほど驚くはずです。平均出場は18.1分なので、36分換算にすればブロックは3.2本ペースになります。8月6日のリンクス戦では25分で12得点8リバウンド5アシスト3ブロックと、攻守にわたる完成形も見せていました。
積み上げてきたものが、ようやく形になり始めた矢先の負傷交代でした。
12勝21敗のチームが、これ以上失ってよいものはありません
スパークスは今季12勝21敗。プレーオフ争いという意味では厳しい位置にいますが、だからこそブリンクの成長曲線こそが今季最大の収穫だったはずです。リムプロテクターとしての価値は数字が示す通りで、彼女がコートを離れた瞬間にインサイドの守備基準が下がることは、この夜の展開を見ても明らかでした。
ここで強調しておきたいのは、本記事の執筆時点でチームから診断結果も欠場期間も発表されていない、ということです。腹部への衝撃なのか、その前の頭部接触が影響しているのか、外から断定できる材料はありません。過去の大怪我を知るファンほど最悪の想像をしてしまいがちですが、続報を待つ以外にできることはないと思います。
一方で、この試合はリバティにとっても手放しでは喜べない内容でした。レオニー・フィービッチとサトゥ・サバリーを欠いたまま21勝14敗と星を伸ばしたものの、28点差を消されかけた守備の緩みは残ります。アイオネスクも第3クォーターに右足を痛めて一度ベンチに下がっており、こちらも楽観はできません。
次戦は土曜、両チームとも東海岸で試合が続きます
スパークスは土曜にワシントンへ乗り込み、リバティは同じ土曜にコネチカットと対戦します。ブリンクが帯同するのか、それとも検査のために離脱するのか。スパークスの公式発表が最初の判断材料になります。
シーズン終盤に向けて、順位よりも大切なものがある。そう思わせてしまう夜が続いているのが、2026年のスパークスの現在地なのかもしれません。

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