2026年8月10日、アトランタ郊外のゲートウェイ・センター・アリーナで、WNBAの記録がひとつ静かに書き換わりました。ドリームのライン・ハワードが、今季100本目の3ポイントをチームの31試合目で沈め、シーズン100本到達までの最速記録を更新したのです。これまでの記録は33試合。その名前にはダイアナ・タウラジと、ハワード自身が並んでいました。つまり彼女は、自分で作った壁を自分で2試合ぶん削り取ったことになります。数字の見た目は地味かもしれませんが、外角が「確率」だけでなく「量」で語られる時代に入ったことを示す、象徴的な一夜だったと感じています。
11本中6本、22得点7アシスト──記録の夜のスタッツを分解する
この日のドリームはトロント・テンポを107-95で下し、ハワードはフィールドゴール15本中7本、3ポイントは11本中6本成功で22得点を挙げました。加えて7アシスト、4リバウンド、3スティール、1ブロックと、スコアシートのほぼ全欄に名前を残しています。第2クォーターで30-17と一気に押し込み、前半を54-39で折り返した流れの起点も、やはり彼女の外角でした。ドリームは前半をリードして終えた試合で今季14勝2敗。先手を取ったときの強さが、そのまま数字に出た格好です。
今季のハワードは31試合で平均17.4得点、3.8リバウンド、3.6アシスト、2.4スティール。3ポイント成功率は37.1%です。100本を31試合で割れば1試合あたり約3.2本、成功率から逆算すると試投数はおよそ270本という計算になります。撃たなければ届かない記録であると同時に、撃ち続けても入らなければ届かない記録でもある。この二つを同時に満たしたところに、今回の更新の価値があります。
試合直後、NBCスポーツのインタビューに答えたハワードの第一声は「シューターは撃つものですから」というものでした。そのうえで、これだけの3ポイントの一年を送ってなおこの記録に届いたのだから、来季がどうなるか楽しみにしていてほしい、という趣旨の言葉を続けています。淡々としていながら、次の一年まで視界に入れている返し方でした。
同じ夜にもう一つの球団記録──リースの22個目と、9月に控えるW杯
この試合はドリームにとって二重の記念日になりました。エンジェル・リースが20得点14リバウンドで今季22個目のダブルダブルを記録し、球団のシーズン最多を更新。2023年にアリッサ・トーマスが打ち立てたWNBA記録の28個まで、あと6個に迫っています。ジョーダン・カナダも20得点9アシスト、アリーシャ・グレイとブリオナ・ジョーンズが15得点ずつと、主力が横並びで機能した夜でもありました。
ハワードは2022年のドラフト全体1位で指名され、その年の新人王に選ばれた経歴の持ち主です。2024年のパリ五輪では3人制で銅メダルを獲得していますが、5人制の国際大会は未経験でした。そのハワードとリースがそろって2026年FIBA女子ワールドカップのアメリカ代表12人に名を連ねています。ドリームの選手が2人同時に5人制のW杯・五輪でアメリカ代表を務めるのは球団史上初めてで、記録づくめの夏がそのまま9月のドイツへ続いていく形です。
残り12試合で数字はどこまで伸びるか、そして順位はどうなるか
ドリームはこの勝利で20勝12敗となり、リーグ4位。インディアナ・フィーバーと同じ勝敗数で並んでいます。レギュラーシーズンは残り12試合。ハワードが今のペース(1試合3.2本)を維持すれば、単純計算で最終的に140本前後まで積み上がります。もちろん終盤は相手のスカウティングも厳しくなりますから、そのまま伸びるとは限りません。それでも「100本」という到達点が31試合目に来たこと自体が、彼女の試投数と信頼度の高さを物語っています。
個人的に注目しているのは、リースが内で22回のダブルダブルを積み、ハワードが外で100本を撃ち込むという、この極端な役割分担です。相手からすればゴール下を締めればハワードが空き、外に出ればリースが暴れる。カナダの9アシストは、その二択を突きつける中継役が機能している証拠でもあります。プレーオフでこの構図が通用するかどうかが、ドリームの今季の到達点を決めることになりそうです。
今後の試合日程
ドリームは木曜にコネチカット・サンとの敵地戦を控え、その後の日曜にはフィーバーとの直接対決が組まれています。同じ20勝12敗で並ぶ相手との一戦は、上位シードを争ううえで大きな意味を持つ試合になります。一方、36得点7本の3ポイントで気を吐いたマリーナ・マブリーを擁するテンポは10勝22敗。水曜にダラスへ乗り込みます。ハワードの3ポイントが次にどのタイミングで刺さるのか、木曜のコネチカット戦から目が離せません。

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