マブリー

ブロンデロの覚悟とテンポの船出、人生で最も過酷な一年が残した伏線

 

トロント・テンポの初代ヘッドコーチ、サンディ・ブロンデロが、球団初のシーズンを振り返る長編特集がThe IXに掲載されました。プレーオフを逃したのは、2度のWNBA優勝を経験した名将にとって、キャリアで初めてのことです。それでも記事に漂うのは悲壮感ではなく、白紙から文化を築いた手応えでした。勝敗では測れない一年の意味を、数字と言葉から整理します。

4週間悩んで選んだ「いちばん自分らしくいられる場所」

ブロンデロはテンポの打診を受けたあと、決断までに4週間をかけたと明かしています。ほかのチームからも正式なオファーが届いていましたが、トロントにあって他になかったものがあった、というのが本人の説明です。

決め手になった言葉は「where it was most mine」、つまり最も自分のものにできる場所でした。既に出来上がった組織を引き継ぐのではなく、規範も慣習も存在しない新球団を一から形づくる。その自由度に、2度の優勝を経た指導者が賭けたことになります。就任会見は11月4日に行われました。

ゼネラルマネージャーのモニカ・ライト・ロジャースも、コーチに求めたのは指示を出す人ではなく「パートナー」だったと語っています。ESPNのドキュメンタリー「Setting the Tempo」が9月に公開されましたが、その中でもフロントと現場が対等に組む姿が描かれているそうです。

序盤は.500前後、そこから襲った負傷者の波

特集によると、テンポのシーズンは.500前後という悪くない位置から始まりました。流れを変えたのは負傷です。ナイアラ・サバリー、テミ・ファグベンレ、イザベル・ハリソンが早い段階で離脱し、その後ブリトニー・サイクスとキキ・ライスも戦列を離れました。

終盤にはサイクス、アネシア・モロー、マリナ・マブリーの3人が9月以降の欠場、つまりシーズン終了と伝えられています。その中で、マブリーは主力のなかでは最も健康を保ち、攻撃の多くを背負い続けた存在だったと記事は書いています。なお、最終的な勝敗数は特集内では示されていません。

拡大球団が1年目から安定した陣容を保つのは、ただでさえ難しい課題です。そこへ主力の相次ぐ離脱が重なれば、ヘッドコーチの手腕でどうにかなる範囲を超えます。プレーオフ不在という結果は、采配の巧拙というより、台所事情の厳しさを映していると見るのが自然でしょう。

「最も過酷な一年」と語った指揮官の視線

ブロンデロ本人は、プロ選手としてもコーチとしても「最も過酷で、最も試される一年のひとつだった」と振り返っています。それでも自分の最大の強みは「自分らしくいること」だとし、毎日喜びを持って仕事場に来ることを心がけてきたと話しました。

選手側の証言も好意的です。マブリーは「あなたは良くやっている、でももっとできるはず」と背中を押され続けたと語り、ルーキーのテオニ・キーは、ブロンデロが常に前向きで軽やかなエネルギーを持ち込んでくれると話しています。ライス、キー、ラウラ・ユスキテ、マリア・コンデといった新人たちとも、密に向き合ってきたようです。

来年のドラフト上位指名権が、次の一手の起点に

ここからは個人的な見立てです。テンポは2027年ドラフトで、現ヒューストン・コメッツと並んで抽選の最高確率を持つとされています。負傷続きの苦しい一年が、皮肉にも将来の戦力補強の土台になるわけです。

起点になりそうなのは、若手の育成と、マブリーをはじめとする主力の復帰です。ブロンデロが築いた「キャリアで初めて勝てない年でも崩れなかった空気」は、補強で選手が入れ替わっても残る資産だと考えます。1年目に積み上げた文化が、2年目以降の勝ち星に変わるのか。拡大球団の成否を占う試金石として、来季のテンポから目が離せません。

引用:https://www.theixsports.com/features/how-sandy-brondello-embraced-tempo-expansion-team/

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