36歳のラッセル・ウェストブルックがキングスと1年契約、18シーズン目の挑戦はサクラメントで

NBAの歴史に残る名ポイントガードの一人、ラッセル・ウェストブルックが2025-26シーズンをサクラメント・キングスで迎えることになりました。ESPNのシャムス・シャラニアが報じたこの契約は、1年360万ドルの条件です。36歳を迎えるウェストブルックにとって、これはプロ18シーズン目となる新たな挑戦であり、キングスにとっても、プレーオフ進出を目指す重要なシーズンに向けて経験豊富なベテランを獲得した形となります。

昨シーズンのデンバーでの実績

ウェストブルックは昨シーズン、デンバー・ナゲッツで75試合に出場し、そのうち36試合で先発出場を果たしました。平均27.9分の出場時間で13.3得点、6.1アシスト、4.9リバウンドを記録しており、これらの数字をすべて達成したNBA選手はわずか17人しかいませんでした。このリストには、オールスター選手やMVP候補が名を連ねており、ウェストブルックが依然としてリーグ屈指の存在感を示していることがわかります。

特筆すべきは、ニコラ・ヨキッチとのコンビネーションでした。オフボールでのプレーが増えた昨シーズン、ウェストブルックはキャリアハイとなる45本のコーナー3ポイントシュートを成功させ、成功率は42%に達しました。これは過去2シーズンの合計を上回る数字です。さらに、フィールドゴールの40%以上をリム付近で試み、64%の成功率を記録したことは、2021年以来の高水準でした。

プレーオフでは明暗が分かれました。1回戦のクリッパーズ戦では重要な役割を果たしましたが、2回戦のサンダー戦では苦戦を強いられ、フィールドゴール成功率34.8%、3ポイント成功率21.9%と低迷しました。160分の出場時間でターンオーバー18に対してアシストは17にとどまり、チームは92点差で負け越すという結果に終わりました。試合後、ウェストブルックは右手の2本の骨折を抱えながらプレーしていたことが明らかになり、手術を受けています。

キャリアを通じて築いた圧倒的な実績

ウェストブルックのキャリアは、まさに伝説的なものです。2017年にはNBAのMVPを獲得し、オスカー・ロバートソン以来2人目となるシーズン平均トリプルダブルを達成しました。その年、彼は42回のトリプルダブルを記録し、NBA史上最多の記録を樹立しました。

さらに驚異的なのは、その後の2シーズンでも連続してトリプルダブル平均を達成したことです。これはNBA史上初の快挙であり、ウェストブルックの多才さと一貫性を物語っています。2021年には、キャリア通算トリプルダブル数でロバートソンを抜き、現在200回以上のトリプルダブルを記録する唯一の選手となっています。

9度のオールスター選出、9度のオールNBAチーム選出という実績に加え、2021年にはNBA75周年記念チームにも選ばれました。また、2012年のロンドンオリンピックでは、アメリカ代表として金メダルを獲得しています。

キングスへの期待と今後の展望

サクラメント・キングスは、ここ数シーズン、プレーオフ進出を目指して苦戦してきました。2022-23シーズンには48勝34敗の成績で16年ぶりにプレーオフに進出しましたが、その後の2シーズンは西地区9位に終わり、プレーイントーナメントでの敗退が続いています。

現在のキングスのロスターには、ドマンタス・サボニス、ザック・ラヴィーン、デマー・デローザンといった複数のオールスター選手が名を連ねています。ウェストブルックの加入により、チームには速攻を牽引できる経験豊富なポイントガードが加わります。特に、サボニスとはオクラホマシティ時代に共にプレーした経験があり、ピック&ロールでの相性が期待されています。

新ヘッドコーチのダグ・クリスティーのもと、キングスは今シーズン40勝から42勝程度を目指すとみられています。これはプレーイントーナメント出場圏内であり、ロスターが噛み合えば、ポストシーズンで旋風を巻き起こす可能性も秘めています。

ウェストブルックのプレースタイルは、常に全力疾走で臨む姿勢と、時に制御不能になるリスクを併せ持っています。シュートの不安定さとターンオーバーの多さは課題ですが、その激しさ、リムへの攻撃力、耐久性、そして長年のハイレベルな経験は、セカンドユニットに新鮮なエネルギーと闘志をもたらすでしょう。

キングスにとって、ウェストブルックの獲得はハイリスク・ハイリターンの賭けといえます。しかし、36歳になった今でも、彼がコートに立つたびに見せる情熱と集中力は、チームに計り知れない価値をもたらす可能性があります。18シーズン目となる今季、ウェストブルックはサクラメントで新たな物語を紡ぐことになります。

引用: sports.yahoo