WNBAの歴史がまた一つ塗り替えられました。ミネソタ・リンクスを率いるシェリル・リーブが7月8日(日本時間9日)、敵地でのコネチカット・サン戦を86-80で制し、レギュラーシーズン通算380勝目を挙げました。マイク・シボーと並んでいた379勝から一歩抜け出し、名実ともにWNBA歴代最多勝ヘッドコーチの座に就いています。
率直に言えば「ようやく来た」という瞬間でした。記録に並んで以降、リバティ戦、サン戦と2試合連続で足踏みし、特に前回のサン戦は1点差での悔敗。3度目の挑戦で、因縁の相手から記念すべき1勝をもぎ取った形になりました。
3度目の挑戦で歴史の扉を開いた86-80の粘り勝ち
379勝で歴代最多に並んでからの道のりは平坦ではありませんでした。まずリバティに99-86で敗れ、続くサンとの初戦は90-89のわずか1点差負け。記録達成の瞬間を待ち続けたファンにとっても、じりじりする2試合でした。この夜のサンとの再戦も決して楽な展開ではなく、終盤までもつれる我慢比べを制しての勝利です。
試合後、リーブはUSAネットワークのインタビュー(Yahoo Sports)で「正直、これが終わって本当にホッとしています」と笑いながら語りました。長年名勝負を繰り広げてきたシボーに向けた「ソーリー、マイク」という茶目っ気たっぷりの一言も、記録の重みを物語っています。
この勝利でリンクスは16勝6敗となり、ラスベガス・エーシズとゴールデンステート・ヴァルキリーズに0.5ゲーム差をつけてリーグ単独首位をキープしました。
シボー、レインビアに続く「300勝クラブ」の頂点──2010年から16年の積み重ね
リーブは2010年にリンクスの指揮官へ就任して以来、ヘッドコーチとしてのキャリアをすべて同チームで過ごしてきました。マヤ・ムーアを擁した黄金期には、就任から8シーズンで4度の優勝、7年間で6度のファイナル進出という圧倒的な実績を残しています。プレーオフ通算勝利数ではすでに歴代1位に立っており、今回レギュラーシーズンでも頂点に達したことで、文字通り「史上最も勝ったコーチ」となりました。
レギュラーシーズン300勝を超えているのは、歴代でもリーブ、シボー、そして3位のビル・レインビアの3人だけです。加えて年間最優秀コーチ賞4回、先月には女子バスケットボール殿堂入り、2024年パリ五輪では米国代表を8大会連続となる金メダルに導くなど、その経歴は別格の一言に尽きます。
リーブは「いつか誰かが私を抜く日が来たら、今度は私がその人を祝福します」とも語っており、リーグの歴史をつないできた者ならではの視点が印象的でした。
「記録の重圧」から解放されたリンクスは優勝候補筆頭へ
個人的に注目したいのは、この記録達成がチームに与える心理的な効果です。リーブ自身が安堵を繰り返し口にしたように、直近の数試合はチーム全体が記録を意識せざるを得ない状況でした。現在の勝率.727はリーグトップの数字ですが、記録への挑戦が続いた期間の2連敗を除いて見れば、今季のリンクスの完成度は数字以上だと考えています。
2024年のファイナルでリバティに敗れた悔しさを知る面々にとって、今回の記録はあくまで通過点でしょう。重圧から解放されたチームがシーズン後半にどこまで独走するのか。歴代最多勝コーチの新たな1勝目が、優勝への号砲になるのかもしれません。
今後の注目ポイント
リンクスは16勝6敗の単独首位でシーズン中盤戦の山場を迎えます。オールスターのロースターも出そろい、リーグ全体が盛り上がる時期だけに、首位を走るリンクスの一戦一戦はプレーオフのホームコートアドバンテージ争いに直結します。歴代最多勝コーチが率いるチームがこのまま突き進むのか、引き続き注目です。

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