ウィングスファンが凍り付いたあの瞬間から数時間──。7月19日(日本時間20日)のスパークス戦で、ペイジ・ベッカーズが第4クォーターに不運な衝突で頭部を強打し途中退場した件について、試合後にホセ・フェルナンデスHCが口を開きました。飛び出したのは、まさかの「彼女はアジーに怒っている」というエピソードです。担架も車椅子もなく自分の足でコートを去ったエースが、ロッカールームでは冗談を言える状態だったという事実は、最悪の事態を想像したファンにとって何よりの朗報に思えます。本記事では指揮官のコメントの中身と、今夜に迫ったリバティ戦の出場可否を整理します。
「チャージングを奪われた」──試合後に明かされた“いつも通り”のベッカーズ
まず、衝突の状況をおさらいします。ウィングスが90-82でスパークスを下したこの試合の第4クォーター、ドリブルで攻め上がるネカ・オグミケの足に、ウィングスのアジー・ファッドの足が絡みました。バランスを崩したオグミケは、ディフェンスの構えに入っていたベッカーズの足元へ前のめりに突っ込み、巻き込まれたベッカーズは床で頭を打ったように見えました。2人はしばらくコートに倒れ込んだ後、互いに抱き合ってからロッカールームへ下がっています。
ベッカーズはこの時点で25得点(フィールドゴール18本中10本成功)、5アシスト、4リバウンドと圧巻の内容。エース退場後はアリケ・オグンボワレが20得点の働きで勝利を締め、ウィングスはダラス移転後初となる6連勝を飾りました。オグミケもチーム最多の17得点を挙げていただけに、両者が同時に退く結末は何とも後味の悪いものでした。
しかし試合後、フェルナンデスHCはスポーツ・イラストレイテッドの記事が伝えるところによると「彼女は、アジーがネカを転ばせて自分のチャージングを取る機会を奪ったと、アジーに怒っているんですよ」と笑いを交えて明かしました。頭を打った直後の選手が、味方のプレーに「オフェンスファウルをもらい損ねた」と文句を言う──。この負けず嫌い全開のジョークこそ、ベッカーズが深刻な状態ではないことを示す何よりのサインだと現地メディアは受け止めています。指揮官も具体的な検査結果には触れなかったものの、本人が「良い精神状態」だったと付け加えています。
ACL断裂の過去と17勝8敗の躍進──なぜこの場面に誰もが敏感になるのか
それでも心配の声が消えないのには理由があります。ベッカーズはコネチカット大学時代に左膝の前十字靭帯(ACL)断裂を経験しており、足元に人が突っ込んでくる形の接触は、ファンにとってフラッシュバックを呼び起こす類のものです。皮肉なことに、今回のきっかけを作ったファッドも大学時代にACL断裂を経験した一人。「親友コンビ」として知られる2人だからこそ、冗談で笑い飛ばせる空気に救われた面もあるでしょう。
そして何より、今のウィングスはベッカーズと共に生きるチームです。昨季10勝34敗と低迷したチームは、今季ここまで17勝8敗でリーグ4位に浮上。2年目のベッカーズは平均20.7得点、6.3アシスト、4.2リバウンドと、新人王のシーズンを上回るMVP級の数字を残しています。得点・アシストの両輪を担うエースを長期間欠けば、6連勝で掴んだ勢いが一気にしぼみかねません。昨季の負傷禍で崩れたチームをいくつも見てきたファンなら、この躍進がいかに脆い土台の上にあるかを知っているはずです。
今夜のリバティ戦は出場するのか──連戦と頭部評価が突きつける難しい判断
焦点は、7月20日(日本時間21日朝)に行われるリバティ戦です。この試合はもともと7月17日に予定されながら、チャーター機の機材トラブルで延期された振替試合。ウィングスにとってはスパークス戦から中0日のバックトゥバックとなります。
ここからは筆者の見立てですが、たとえ検査で異常がなくても、今夜の出場は五分五分より低いと見ます。理由は3つあります。第一に、頭部を打った選手には慎重な評価手順が求められ、一晩での完全クリアは簡単ではないこと。第二に、連戦の2戦目はもともと主力を休ませやすい日程であること。第三に、オールスター(シカゴ開催)が目前に迫っており、ファン投票最多得票でオールスターの主役となるエースを、順位争いの1試合で無理に使う理由が乏しいことです。仮に欠場となれば、平均13.3得点で並ぶオグンボワレとファッドの両ガードが攻撃の軸を担うことになります。ファッドにとっては「親友を転ばせかけた借り」を返す絶好の舞台、と言ったら不謹慎でしょうか。
今後の試合・関連情報
ウィングスは日本時間7月21日朝にリバティと対戦します。延期の経緯から注目度の高い一戦で、ベッカーズの出場可否は試合直前のインジュリーレポートで明らかになる見込みです。また、シカゴで開催されるオールスターでは、ベッカーズがドラフト形式のチーム分けで全体1位指名を受けており、無事なら大舞台での躍動が期待されます。続報が入り次第、当ブログでもお伝えします。

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