7月25日にシカゴで開かれたWNBAオールスターゲームで、思わず笑ってしまう一場面が生まれました。現MVPのエイジャ・ウィルソンが、エンジェル・リースのレイアップを、跳ぶこともなく「ただ真っすぐ立っているだけ」で弾いてしまったのです。ブロックを狙ったのではなく、むしろぶつからないように避けようとした結果だったといいますから、なんとも締まりのない、それでいて微笑ましい瞬間でした。二人はコート上で顔を見合わせて笑い合い、エイジャ・ウィルソンは試合後に「本当にごめんなさい」と口にしています。第一印象を正直に言えば、これはリースの失敗というよりも、ほとんど守備をしないオールスターという舞台そのものを見事に映し出した出来事でした。
跳ばないブロックと、記録的1万9783人の観衆
場面はこうです。リースがゴール下へドライブしてレイアップを試みると、エイジャ・ウィルソンは足を地面につけたまま腕を垂直に上げただけ。それだけでボールははじかれ、リースのシュートは不発に終わりました。我に返ったエイジャ・ウィルソンは口元を手で覆って驚き、続けて向きを変えた拍子にリースが相手の足に引っかかって転びかけると、二人はまた笑い合っていました。攻防というより、じゃれ合いに近い空気だったのです。
エイジャ・ウィルソンは試合後、自分はぶつからないよう避けようとしていただけで、オールスターでブロックを狙うつもりはなかったと説明し、こんなことは今まで一度もなかったと苦笑いしました。実際、この日のチーム・スプーンはチーム・クープを129対122で下し、MVPにはニューヨーク・リバティのジョンケル・ジョーンズが輝いています。観客数は1万9783人と、オールスターゲームとしては史上最多を記録しました。序盤から本気だったのはケイトリン・クラークで、開始3分で11得点を叩き出す立ち上がりを見せています。
オールスターは昔から「守らない」舞台という現実
守備がほとんど機能しないオールスターは、実はWNBAに限った話ではありません。NBAのオールスターも長年、「本気の守備がない」「ただのシュート大会だ」と批判の対象になってきました。エキシビションである以上、選手が大怪我のリスクを避けるのは当然で、跳ばずに立っているだけのエイジャ・ウィルソンの姿は、その象徴とも言えます。
背景には過密日程もあります。各チームはオールスター直前の水曜に公式戦を戦い、休み明けは早ければ火曜にはまた試合が組まれています。実質的な休養はほとんどなく、全力で守り合う動機が生まれにくいのです。リバウンドを武器にするリースも、リーグを代表するセンターであるエイジャ・ウィルソンも、この日ばかりは肩の力を抜いていました。だからこそクラークはハーフタイム前、高い金額を払って足を運んだファンのために、もう少しペースを上げようとチーム全体へ呼びかけたと伝えられています。
記録的な熱狂と「中身」のギャップをどう埋めるか
今のWNBAは、かつてない熱狂の只中にあります。オールスターの観客動員は過去最多、シーズン前半の視聴者数はエンゲルバートいわく累計7300万人を突破し、リーグは2027年から集中管理型のリプレイセンターを導入すると発表したばかりです。チケット価格も高騰し、ファンはこれまで以上の対価を払って会場に集まっています。
だからこそ、派手な話題性と、コート上で繰り広げられる「ゆるさ」とのギャップが、以前よりくっきりと目立つようになりました。筆者が興味深いと感じるのは、そのズレを誰よりも選手自身が自覚している点です。エイジャ・ウィルソンの素直な謝罪も、クラークの呼びかけも、「見に来てくれた人にきちんとした試合を届けたい」という意識の裏返しに他なりません。人気が爆発した今のWNBAには、得点上限方式の導入など、オールスターの中身を熱狂に見合うものへ作り替える工夫が求められる時期に来ているのではないでしょうか。皮肉にも、それは「オールスターの質を問われるほど大きくなった」という、うれしい悩みでもあります。
リーグは休み明けとともに後半戦へ突入し、早いチームは今週の火曜から再始動します。エイジャ・ウィルソン擁するラスベガス・エーシズと、リースのシカゴ・スカイが、ここからのプレーオフ争いでどんな本気を見せるのか。オールスターの余韻を笑い話にしつつ、次の一戦に注目したいところです。今回の一件の詳報はこちらのレポートにまとまっています。
引用:https://www.si.com/onsi/womens-fastbreak/wnba/a-ja-wilson-s-accidental-block-of-angel-reese-says-it-all-about-wnba-all-star-game-01kyecp8th4e

WNBA FAN BLOG運営者/バスケットボールジャーナリスト
WNBA・NBAをこよなく愛し、バスケットボール歴30年以上。特にWNBAの魅力を日本に広げるため、2025年5月に WNBA FAN BLOG をスタートしました。試合結果や選手情報だけでなく、独自の視点による戦術分析や選手インタビュー、海外ニュースの速報翻訳まで幅広くカバーしています。
現在、日本国内では数少ないWNBA専門メディアとして、最新ニュースをどこよりも速く正確にお届けすることをミッションにしています。
得意分野
試合分析・戦術解説
選手のデータ分析(EFF、PER など)
海外ニュース速報翻訳(英語 → 日本語)
サイト目標
日本最大の WNBA 情報ポータルサイト構築
日本のバスケットボールファンコミュニティ作り
関連 SNS アカウント
X(Twitter):@WNBAJAPAN
フォローしてWNBA の最新情報をキャッチしてください!




