「サイズ9しかない」──クラークが明かした“お断り”の真相
シカゴで開催された2026年のWNBAオールスターウィークエンドでは、コート上の熱戦に負けないほど、ケイトリン・クラークの“足元”が話題をさらいました。10月1日の正式発売を控える初のナイキ製シグネチャーモデル「ケイトリン1」を、ひと足早く履きたいと願う仲間たちからの依頼が殺到したのです。ところがクラークは、その大半を断らざるを得ませんでした。出し惜しみでもわがままでもなく、理由はいたって物理的なものでした。スターの華やかな逸話でありながら、シグネチャーを持つ者だけが抱える現実がのぞく、どこか人間味あふれるエピソードです。
クラークがオールスターゲームの前に明かした断りの理由は、供給量の絶望的な少なさでした。いま手元にあるのは自分の足に合うUS9、日本サイズでおよそ26センチのサンプルだけ。ほかのサイズはまだ製造すらされておらず、貸したくても貸せない状態だったのです。「何人にも頼まれたけれど、今はサイズ9しか持っていなくて、みんな私のサンプルでプレーしているの」と、本人はザ・スポーティング・ニュースに語っています。それでも“幸運な例外”はいました。ミネソタ・リンクスのコートニー・ウィリアムズと、シアトル・ストームのナティーシャ・ハイドマンです。人気コンビ「スタッドバッズ」の2人はクラークのサンプルを託され、ウィリアムズは本番のオールスターゲームでこの未発売モデルを履いてコートに立ちました。発売前のシューズが全米中継の舞台にお目見えした、週末でも屈指の“スニーカーの瞬間”でした。
発売前から争奪戦、WNBAで“シグネチャー”を持つ意味
そもそもWNBAで自分の名を冠したシグネチャーシューズを与えられる選手は、歴史的に数えるほどしかいません。1995年に初のモデルを送り出したシェリル・スウープスに始まり、近年でもアイオネスクやエイジャ・ウィルソンといった限られた顔ぶれだけが手にしてきた称号です。リーグ3年目のクラークがすでにその列に加わり、しかも発売前から選手たちが奪い合う状況は、彼女の商品価値の高さを如実に物語っています。クラークはこの日、白一色で通す予定を土壇場で変え、チャームをあしらった鮮やかな“バレンタイン仕様”のカラーで登場しました。地味すぎると自らボツにしたという遊び心も、シューズへの注目度をさらに押し上げました。
品薄が生む熱狂、10月1日へ高まる期待
興味深いのは、この「サイズ9しかない」という品薄そのものが、結果的に最高の宣伝になっている点です。発売前のモデルを仲間がこぞって欲しがり、そのうちの1人が全米中継のコートで着用する——お金では買えない自然発生的な熱狂が、10月1日の発売に向けてすでに渦を巻いています。コート上のクラークも期待に応えました。第1クオーターにはロゴ付近から3連続で3ポイントを沈める離れ業を見せ、最終的に17得点5アシスト4リバウンドをマーク。所属するチーム・スプーンは129-122で勝利しました。オールスター前までの平均は21.0得点7.9アシスト3.8リバウンドで、3年連続のオールスター選出も花を添えます。発売時にはサイズ展開も広がる見込みで、いよいよ一般のファンの足元にも届くことになります。
今後の見どころ
リーグはオールスターブレイクを終え、いよいよ後半戦へと突入します。優勝争いの主役候補に挙げられるクラークとフィーバーが、この勢いをどこまで持続できるかが最大の焦点です。そして足元では、10月1日にいよいよ「ケイトリン1」が正式デビューを迎えます。品薄の“サンプル時代”を経たこのシューズが、発売と同時にどれほどの争奪戦を巻き起こすのか、コートの内外から目が離せません。

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