アリッサ・トーマス

「なんて素晴らしい旅だっただろう」──サンが背番号25を天井へ、11年で3889得点2396リバウンドを積み上げたアリッサ・トーマス永久欠番の夜

 

コネチカット・サンが現地8月7日、本拠地モヒガンサン・アリーナでアリッサ・トーマスの背番号25を永久欠番にしました。11年間このチームの心臓として走り続けた人が、いまは対戦相手であるフェニックス・マーキュリーのユニフォームを着たまま、自分の番号が天井へ上がる瞬間を見届ける。WNBAでもそう何度も見られない光景です。しかもこの球団は来季からヒューストンへ移ります。「コネチカット・サン」の名前で永久欠番になれる選手は、もう数えるほどしか残っていません。そう考えると、この夜の重みは数字以上のものがあります。

「AT」コールと10得点8リバウンド5アシスト、そして75-72

セレモニーは試合前に行われ、観客席からは「AT」コールが起こり、式が始まると総立ちの拍手が送られました。トーマスは「ここで過ごした11年は本当に素晴らしかった」という趣旨の言葉を客席に返し、涙こそこらえたものの、感情がこみ上げる場面もあったと伝えられています。AP通信によれば、本人は「この場所は本当に自分にとって意味のある場所だった」と語っています。

マーキュリーの選手たちは全員、ウォームアップで背番号25のシャツを着用しました。パートナーでありチームメイトでもあるデワナ・ボナーのシャツにはラインストーンの装飾が施されていたそうです。試合前にボナーがふざけて絡んだところ、トーマスから「いまは放っておいて、いろいろ抱えてるから」と返されたという裏話も明かされています。

肝心の試合は、古巣が主役の夜を「台無し」にしました。サンが75-72で競り勝ち、最後はブリトニー・グライナーがブザーと同時に放たれた3ポイントをブロックして試合を締めています。トーマスは35分出場で10得点8リバウンド5アシスト4スティールと数字自体は揃えたものの、フリースローは10本中4本止まり。マーキュリーはケルシー・プラムが25得点、カリア・カッパーが16得点を挙げましたが、あと一歩届きませんでした。サンはアーリア・エドワーズが14得点8リバウンド、グライナーが7リバウンド4アシスト2ブロックと、若手とベテランで守り切った形です。

319試合3889得点──「エンジン」が残した球団記録

トーマスがコネチカットに来たのは2014年。ドラフト当日にモヒガンサンで行われたトレードでこのチームの一員になり、そこから11年を過ごしました。球団の公式リリースによれば、通算319試合出場は球団史上最多で、3889得点、2396リバウンド、1463アシスト、494スティールはいずれも球団歴代1位です。得点も、リバウンドも、アシストも、スティールも全部1位という選手は、リーグ全体を見渡してもそう多くありません。

さらに象徴的なのが、両肩の腱板を断裂したまま出場を続けたエピソードです。腕を肩より上に上げられない状態でも、シュートのフォームを変えてコートに立ち続けた。ファンが彼女を「エンジン」と呼んだのは、スタッツが優れていたからではなく、この人が動くとチーム全体が動き出したからでした。実際、サンはトーマス在籍中にファイナル進出2回、そして6年連続でセミファイナル以上に到達しています。強豪だった時代のコネチカットは、そのままトーマスの在籍期間と重なります。

そして2024年シーズン後、彼女はフェニックスへ移りました。そこから球団は急坂を下り、今季は8勝23敗。この日の勝利すら、順位表の上ではほとんど意味を持ちません。永久欠番セレモニーの日に星取表を見比べてしまうと、余計に一つの時代の終わりを感じます。

移転前の「駆け込み顕彰」に見える球団の本音

サンは今季、移転を前に多くのレジェンドを立て続けに顕彰しています。すでにジョンケル・ジョーンズ、カート・ミラー、ジャスミン・トーマスが表彰され、この後にはティナ・チャールズの永久欠番とマイク・シボルトの顕彰も予定されています。半年足らずでこれだけ並べるのは、普通の球団運営ではまず起こりません。

裏を返せば、これは「コネチカットでやり残したことを全部やってから出ていく」という球団の宣言でもあります。ヒューストンに移った後で「コネチカット時代の功労者」を称えるのは、現実的にかなり難しい。だからいま、ホームのファンが見ているうちに全部済ませる。トーマス自身も「引退するから最後だと言っている人もいて、それが不思議な感じがする」という趣旨のコメントを残しており、選手側もこの状況の異様さを分かった上で受け止めているように見えます。

天井に上がった25番が、来季以降どこに掲げられるのか。ヒューストンのアリーナへ運ばれるのか、コネチカットに残るのか。まだ明確な答えは出ていませんが、この夜アリーナを埋めたファンにとっては、その答えより「あの11年は確かにあった」と刻まれたことのほうが大きいはずです。

今後の観戦情報

マーキュリーは12勝21敗と苦しい位置におり、プレーオフ争いは正念場です。プラムが加入して以降の攻撃力とトーマスの万能性がどこまで噛み合うかが、残り試合の見どころになります。日本からWNBAを追うなら、WNBA League Passでの視聴が基本線です。試合日程はWNBA公式スケジュールで確認できます。サンのホーム最終盤にはティナ・チャールズの永久欠番セレモニーも控えているので、コネチカット最後の夏を見届けたい人はここも要チェックです。

引用:https://wtop.com/sports/2026/08/alyssa-thomas-gets-an-emotional-farewell-as-the-sun-retire-her-no-25-jersey/

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