王者エーシズを沈めた残り1秒の3ポイントはまぐれではありませんでした──平均14.7得点、ドラフト外ルーキーとしてWNBA史上最高の得点力に届いたテイラー

 

2026年のWNBAで、ドラフトで名前を呼ばれなかった選手が、ルーキーの得点ランキング上位に居座り続けています。シカゴ・スカイのシドニー・テイラーです。ニューヨーク・アムステルダム・ニュースが8月13日に報じたところによると、テイラーはゴールデンステート・バルキリーズ戦を迎える時点で1試合平均14.7得点を記録し、WNBA史上でもっとも得点を挙げているドラフト外ルーキーになっています。ロングアイランドのサウスハンティントンで育った無名の選手が、いまやチームで最も計算できるスコアラーになっているという事実は、リーグのスカウティングがまだ取りこぼしを抱えていることを静かに示しています。

平均14.7得点、フィールドゴール成功率45.6%という数字の重み

テイラーの数字は、契約形態を知らずに見れば1巡目指名のそれです。バルキリーズ戦前までの時点で平均14.7得点、フィールドゴール成功率は45.6%で、同紙はこれをドラフト外ルーキーとしてWNBA史上最高の得点力だと位置づけています。ドラフト外の選手がルーキーイヤーにこの水準の得点を残した例は、WNBAの歴史をさかのぼっても見当たりません。

最も象徴的だったのが8月1日のエーシズ戦です。エイジャ・ウィルソンに36得点を許し、残り3.2秒でレイアップを決められて勝ち越された直後、スカイはタイムアウトでボールを前に運びます。テイラーはレーンから飛び出してトップのスクリーンを回り込み、ナターシャ・クラウドからのインバウンドパスをそのまま3ポイントへ。残り1秒を切ってから沈めたこの一本で84-83、王者相手の7連敗が止まりました。この日のテイラーは29得点です。

7月22日のリバティ戦では、キャリアハイの31得点を挙げています。フィールドゴール17本中9本、3ポイント7本中4本、フリースロー10本中9本という内訳で、今季2度目の30得点。これによりテイラーは球団ルーキー史上最多の30得点試合を持つ選手になり、同時にドラフト外ルーキーによる30得点試合数でWNBA歴代1位に立ちました。会場のバークレイズ・センターには、親族が約30人詰めかけていたそうです。

高校3連覇からUMass、そしてリトアニアとポーランドを経由した遠回り

出身はロングアイランドのサウスハンティントン。高校はセント・アンソニーズで、最初の3シーズンでCHSAAの王座を獲り、1年時には州の頂点にも立っています。それでも大学からの熱心な勧誘は届かず、学業の厳しさで知られるマサチューセッツ大学アマースト校を選びました。2023年に公衆衛生学の学位を取得したあと、残っていた1年の資格をルイビル大学で使い切っています。

WNBAドラフトでは指名なし。テイラーはリトアニアとポーランドでプレーし、シーズンの合間はトレーナーと1時間半のコート練習に加えてウェイトとコンディショニングを積み重ねました。4月にスカイとトレーニングキャンプ契約を結び、その2週間後のプレシーズンで23得点。ロースターに残るところから、すべてが始まっています。

記録はほかにもあります。3ポイントを4本以上決めた試合が5回に達し、これはクリスティ・トリバーと並んでいた球団ルーキー記録を単独で塗り替えたものです。25得点以上の試合が4回というのは、ダイアモンド・デシールズとエレナ・デレ・ドンヌに並ぶ球団ルーキー記録になります。こうした思い切りの良さの土台には、ニューヨーク・シティ・ヒートで過ごしたAAU時代があります。攻撃的で、自信を持って自由に打つニューヨークのバスケットボールが自分のプレーに移っている、とテイラー自身が振り返っています。

12勝21敗の11位で、残り10試合に何を残すのか

チーム状況は厳しいままです。スカイはバルキリーズ戦を迎える時点で12勝21敗、15チーム中11位。8位につけるダラス・ウィングス(19勝14敗)とは7ゲーム差で、残りは10試合しかありません。リッキア・ジャクソン、スカイラー・ディギンズ、コートニー・バンダースルートという主力3人がシーズンの大半を負傷で欠いた影響は、順位表にそのまま表れています。

だからこそ、ここから先のテイラーの数字には別の意味が生まれます。プレーオフ争いから外れたチームの得点源は、対戦相手からすれば最も研究しやすい標的です。マークが厳しくなり、スカウティングが行き渡った終盤戦で平均得点を保てるかどうかが、来季以降の立場を決めます。ドラフト外の選手にとって、2年目の保証は決して自動的には与えられません。オフシーズンにトルコでプレーする予定だという選択も、実戦から離れないという意思表示に見えます。

オリビア・マイルズやアジー・ファッドといった上位指名のルーキーが並ぶ2026年の新人クラスで、指名すらされなかった選手が得点上位に食い込んでいること自体が、今季のWNBAで最も痛快な出来事のひとつだと思います。テイラーはこう話しています。「毎日、自分の夢を生きています」

今後の見どころ

スカイの残り10試合は、テイラーにとって評価を固める期間になります。30得点試合をもう1つ積み上げられるのか、3ポイント4本以上の試合をさらに増やせるのか。順位表の数字が動かなくても、追いかける価値のある個人記録がいくつも残っています。プレーオフ圏外のチームにこそ、来季につながる物語が転がっているものです。

引用:https://amsterdamnews.com/news/2026/08/13/long-island-native-sydney-taylor-making-wnba-history/

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