WNBAが現地時間8月18日、2027年のAT&T WNBAオールスターをサンフランシスコのチェイス・センターで開催すると発表しました。ホームチームはゴールデンステート・ヴァルキリーズ。2025年に拡張球団としてリーグ入りしたばかりの球団が、わずか3シーズン目でリーグ最大級のショーケースを預かることになります。正直なところ、驚きよりも「やっぱりそうなったか」という感覚のほうが強い決定でした。ホーム41試合が全部売り切れているチームを、リーグが放っておくはずがありません。
2027年7月30日と31日、週末2日間の中身
発表された日程は2027年7月30日(金)と31日(土)の2日間です。金曜はチェイス・センターでシューティングスターズと3ポイントコンテストが現地時間17時から始まり、ESPNが中継します。土曜のオールスターゲームは現地時間17時30分開始で、地上波ABCの全米中継。東部時間では20時30分のプライムタイム枠に入ります。
会場周辺も動きます。ファンイベント「WNBA Live」は6回目の開催となり、サンフランシスコのモスコーニ・センターが舞台です。加えてベイエリア一帯でコミュニティ関連の催しやパブリックビューイングが組まれる予定で、詳細は今後数か月かけて発表されるとされています。要するに、アリーナの中だけで完結しない街ぐるみの週末になります。
日本のファンにとって見逃せないのは開始時刻です。太平洋時間17時30分は日本時間だと8月1日(日)の午前9時30分。日曜の朝、コーヒーを片手にリアルタイムで追える計算になります。近年のオールスターは東部開催が多く、日本では平日の朝方という厳しい時間帯が続いていました。西海岸開催はそれだけで観戦のハードルを下げてくれます。
加盟料5000万ドルから評価額10億ドルへ、3年で起きたこと
ヴァルキリーズのオーナーであるジョー・レイコブが拡張球団の加盟料5000万ドルを支払ったのは2023年のことです。そこから3年で、この球団は女子スポーツのビジネスモデルそのものを書き換えました。CNBCは今年5月、ヴァルキリーズを女子スポーツ球団として初めて評価額10億ドルに到達したと報じています。加盟料の20倍です。
数字の裏づけは観客動員にあります。チェイス・センターでの41試合、つまり創設以来のホームゲームすべてが完売。毎試合18000人を超える観衆が入り続けている計算になります。1年目は23勝21敗でプレーオフに進出し、2年目の今季も8月17日のダラス・ウィングス戦を78対70で制して2年連続のポストシーズン進出を決めました。この試合ではギャビー・ウィリアムズが両チーム最多の23得点。ナタリー・ナカセが率いるチームは、レギュラーシーズンを1か月以上残して安全圏に入っています。
チェイス・センター自体の実績も後押ししました。2019年に開業したこのアリーナは、2025年2月にNBAオールスターを開催済みです。同じ建物で男女両リーグのオールスターを迎えることになる会場は、そう多くありません。ベイエリアは今年、レビス・スタジアムでスーパーボウルとFIFAワールドカップの試合を経験しており、大型イベントの運営ノウハウが蓄積されたタイミングでもありました。
「創設3年目での開催は途方もない名誉です」が意味するもの
球団社長のジェス・スミスは「創設3年目でAT&T WNBAオールスターを開催できるのは途方もない名誉です」と語りました。この言葉には、単なる社交辞令以上の含みがあると感じます。
考えてみてほしいのですが、2026年のオールスターはシカゴで行われ、ヴァルキリーズからの選出はギャビー・ウィリアムズ1人だけでした。ジャネル・サローンが3ポイントコンテストに出場したものの、スター選手の層という意味ではまだリーグの中位です。それでも開催地に選ばれたということは、リーグが「誰が出るか」ではなく「どこでやれば熱量が最大化するか」を優先した証拠だと読めます。オールスターの価値を決めるのは出場選手だけではない、という判断です。
もうひとつ見逃せないのが、リーグ拡張との時間軸の重なりです。WNBAは今季ポートランドとトロントを迎え、拡大局面のただ中にあります。2027年の西海岸開催は、太平洋岸のマーケットにリーグの旗を立てる意味合いも帯びるはずです。ベイエリアにはNWSL、PWHL、女子プロバレーの球団が近年集中しており、女子スポーツの実験場として最も密度の高い地域になりました。その中心にヴァルキリーズが座っている構図は、今後数年でさらに強まりそうです。
2026年シーズンはまだ終わっていません
2027年の話に気を取られがちですが、目の前のシーズンはこれからが本番です。ヴァルキリーズはプレーオフ進出を確定させた一方、シード争いはまだ流動的で、上位進出のためには残り試合の勝ち方が問われます。昨季はチェイス・センターがレイバーカップの会場になった影響で、球団史上初のポストシーズンをサンノゼのSAPセンターで戦うという変則的な事情がありました。今年こそ本拠地でプレーオフを、というのがベイエリアのファンの願いでしょう。
2027年7月末のサンフランシスコまで、あと1年弱。それまでにこの球団がどこまで積み上げるのか、開催地決定はむしろ楽しみを増やす報せになりました。

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