ケイトリン・クラークの初のシグネチャーモデル「ナイキ・ケイトリン1」は、10月1日に「レーサーブルー」で発売されます。その発売を1か月半後に控えたタイミングで、クラーク自身が「誰に履いてほしいか」を語りました。名前が挙がったのは、バスケットボール選手ではありませんでした。テイラー・スウィフトです。コート上の話題が絶えない夏に、シューズの話でここまで盛り上がるのかと、正直なところ驚かされました。
SLAMの質問に返した「テイラー・スウィフト」という答え
きっかけはバスケットボール専門誌SLAMのQ&A企画でした。ジャレッド・エバンクスから「ケイトリン1を履いているところを見たい有名人は誰か」と問われたクラークは、「テイラー・スウィフトが履いているところを見るのは悪くないと思います。彼女が気に入りそうなカラーがいくつかあります」と答えています。単に有名人の名前を挙げたのではなく、「彼女に似合う色がある」と言い切っているところに、10色以上を用意しているモデルならではの余裕がにじみます。
この2人には接点があります。クラークは昨年10月、チーフス対ライオンズの試合会場でスウィフトの隣に座っている姿が確認されています。さらに今年1月、トラビス・ケルシーとジェイソン・ケルシーが手がけるポッドキャスト『New Heights』に出演した際には、チーフス仕様のカラーやプレイヤーエディションに興味があると明かし、「いつかアンディ・リードにこれを履いて指揮を執ってもらえるかもしれません」と冗談まじりに語っていました。今回の発言は、その延長線上にあると見るのが自然でしょう。
本音は「フーパーに履いてほしい」、有名人よりも同業者
ただ、クラークの回答はスウィフトで終わっていません。続けて彼女は、他のWNBA選手やNBA選手が自分のシューズを履いてくれることが本当にクールだと語り、大学の選手、NBAの選手、WNBAの選手にできるだけ多く履いてもらえるよう働きかけていくと話しています。ここが興味深いところです。ポップスターの露出はSNS上の到達数を跳ね上げますが、バスケットボールシューズの生命線は結局のところ、コートで実際に履かれている絵にあります。
実際、その動きはすでに始まっています。8月にはシアトル・ストームのナティーシャ・ハイドマンがクラークから贈られた未発売のケイトリン1を履き、18得点9アシスト0ターンオーバーという内容でチームの11連敗を止めました。オフには、ラッパーのトラビス・スコットがオールブラックのケイトリン1を試着している写真を、クラーク本人がインスタグラムで共有しています。有名人と競技者、その両輪を回そうとしているのが今のクラーク陣営です。
10色以上という数字が意味するもの
ここからは筆者の見立てです。発売前にこれだけ多くのカラーを小出しにしているのは、シグネチャーモデルとしてはかなり攻めた戦い方だと感じます。通常、初代モデルは1色か2色で慎重に立ち上げ、反応を見てから展開を広げるものです。クラークの場合はアイオワ大時代を思わせるカラーまで含め、10を超えるバリエーションが発売前から示唆されています。これは「まず売れるかどうか試す」段階を飛ばし、最初から複数の層に同時に届けにいく設計だと読めます。
スウィフトの名前が出たことも、その戦略と無関係ではないはずです。バスケットボールを見ない層にまで届く固有名詞は、リーグ全体でも数えるほどしかありません。クラークがそれを自分の口から出した以上、実際に実現するかどうかとは別に、話題としてはすでに機能しています。10月1日という日付が、単なる発売日以上の意味を帯びてきました。
今後の試合と観戦情報
コートの方では、フィーバーが24勝13敗で3年連続のプレーオフ進出を決めています。東カンファレンスの首位に立った状態でレギュラーシーズン終盤に入りました。直近のダラス戦では10得点9アシスト、フィールドゴール15本中4本という苦しい内容で91対85と敗れ、5連勝が止まっています。ここからニューヨーク遠征が控えており、シューズが店頭に並ぶ10月には、彼女はプレーオフの舞台に立っている可能性が高い状況です。発売のタイミングとしては、これ以上ない巡り合わせと言えます。

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