昨季はWNBAファイナルまで駆け上がったフェニックス・マーキュリーが、2026年シーズンは深刻な低迷に沈んでいます。6月18日時点での成績はわずか4勝12敗。リーグ屈指の戦力を抱えながら、なぜここまで勝てないのか。チームの中心であるアリッサ・トーマスが繰り返し口にしたのは、「accountability(説明責任)」という言葉でした。優勝を狙うはずだったチームに、いったい何が起きているのでしょうか。第一印象としては、戦力の問題というより、チームとしての約束事が崩れているという深刻さを感じます。
4勝12敗、止まらない連敗と崩れた守備
マーキュリーは現在4連敗中で、わずか2週間前には6連敗も経験していました。低迷の核心にあるのは守備の崩壊です。昨季はディフェンスを土台に勝ち上がったチームでしたが、今季はリーグ11位の守備効率にとどまり、1試合平均で86.8失点を許しています。試合内容自体は決して悪いだけではなく、大きなビハインドを追いついて競り合いに持ち込む試合も多いのですが、40分間を通して安定したプレーを続けられず、最後に振り切られるパターンが繰り返されています。5月13日のロサンゼルス・スパークス戦は111対102の延長戦で敗れ、ゴールデンステイト・バルキリーズ戦も6点差で落とすなど、「あと一歩」が勝ち星に変わらない試合が続いているのです。
昨季ファイナル進出からの急転、主力は健在
厳しいのは、この低迷が戦力不足によるものではない点です。マーキュリーは昨季ファイナル進出メンバーから7人が残留しており、アリッサ・トーマスを軸に、優勝経験を持つカリア・コッパーやディワナ・ボナーといったベテランが顔をそろえています。一方で、今季加入した新戦力の多くは海外リーグ出身のルーキーで、ヨバナ・ノギッチやノエミ・ブロシャンらは輝きを見せつつも、勝利に直結する安定感をまだ確立できていません。昨季のアイデンティティだった守備が今季は機能していないことが、チームの自信を少しずつ削っているように見えます。トーマスは守備について「いまの状態が続けば、結果も変わらない」と危機感をあらわにしました。
「説明責任」を巡る独自考察、立て直しの鍵はどこに
注目したいのは、トーマスが立て直しの起点を「コーチ陣」と「選手自身」の両方に求めている点です。3年目を迎えた指揮官ネイト・ティベッツも、完璧ではなくとも「もっと完璧に近づく」必要があると語り、競争心の徹底を課題に挙げています。17年のキャリアを持つボナーは、守備の強度は「自分次第」だと言い切り、責任の所在を選手側にも引き寄せました。練習やフィルムセッションでの徹底、遠征中にナパで親睦を深めるなど、チームは関係性そのものを作り直そうとしています。筆者の見立てでは、この「誰が悪いかではなく、全員で基準を引き上げる」という姿勢を貫けるかどうかが、シーズンを救う分岐点になりそうです。逆に言えば、ここで責任の押し付け合いが始まれば、ロッカールームは一気に崩れかねません。
西カンファレンス浮上へ、残されたシーズンの行方
4勝12敗という数字は、プレーオフ争いの観点では決して楽観できる位置ではありません。それでも、トーマスやコッパーといった経験豊富なコアが残っている以上、短期間で連勝に転じる地力は十分にあります。鍵を握るのは、海外出身の若手たちがどれだけ早くWNBAの強度に順応し、勝利につながるプレーを継続できるかです。マーキュリーがこの苦境から「説明責任」を本物の結束へと変えられるのか、これからの一戦一戦に注目が集まります。

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