WNBAに、また一つ歴史が刻まれました。コネチカット・サンのブリトニー・グライナーが、6月22日のシカゴ・スカイ戦で通算878ブロックを記録し、リーグ歴代単独1位に立ちました。長らく「鉄壁」と呼ばれてきた選手が、ついにブロックという守備の象徴的な記録でWNBAの頂点に到達したのです。攻撃的なスター選手の数字が話題になりやすい昨今ですが、地味に積み上げてきた一本一本が史上最多に達したという事実には、思わず襟を正したくなります。今回はこの記録の意味と背景、そしてその夜に同時に起きたもう一つの出来事まで掘り下げていきます。
第3クォーターの一本がWNBA史を書き換えた
記録更新の瞬間は、92対63で快勝した一戦の第3クォーターに訪れました。グライナーがスカイのセンター、カルドソのシュートを弾き返した一本が通算878個目となり、これまで歴代1位だったマーゴ・ダイデックの877ブロックを抜き去ったのです。この日のグライナーは14得点、8リバウンド、3アシスト、そして4ブロックと、得点・リバウンド・守備のすべてで存在感を示しました。チームを大勝に導きながら、自身は淡々とキャリアの金字塔を打ち立てたかたちです。20点差を超える圧勝の中で達成された記録というのも、彼女らしい説得力があります。
18年間動かなかった「877」という高い壁
抜き去った相手であるダイデックは、11シーズンで877ブロックを積み上げ、2008年からこの記録を保持してきました。およそ18年間、誰も超えられなかった数字です。身長213センチを誇った伝説のセンターが築いた壁を崩したのが、2013年に全体1位指名でリーグ入りしたグライナーでした。ルーキーイヤーから一貫してリーグ屈指のリムプロテクターとして君臨し、相手が彼女のいるゴール下への侵入をためらうという光景は、もはやWNBAの日常の風景になっています。派手なブロックパーティーではなく、長いキャリアを通じて毎試合コツコツと積み重ねた結果が、史上最多という到達点なのです。
記録の夜に潜んだ「規律」という新たな課題
一方で、この歴史的な夜には影の部分もありました。グライナーは第3クォーター終盤に今季初のテクニカルファウルを取られ、WNBAの規定により自動的に500ドルの罰金が科されることになります。リーグの罰金体系は、1回目から3回目までが各500ドル、4回目から7回目が各1000ドル、それ以降は1500ドルに加えて1試合の出場停止と、回数を重ねるごとに重くなります。さらに彼女には今月のエンジェル・リースとの接触で得たフレグラントポイントが1つあり、これが4つに達すると自動的に出場停止となります。記録更新で得た栄光と、規律面で抱えるリスクが同じ夜に同居したわけです。シーズン後半に向けて、彼女が冷静さを保てるかどうかは、サンの戦力を測るうえで見逃せないポイントになりそうです。米メディアも、歴史的偉業と罰金が同時にやってきた皮肉を伝えています。
次戦は金曜のミスティックス戦、サンの浮上なるか
サンにとっての朗報は、この勝利が安定を求めるチームにとって良い流れを生んだことです。グライナーの記録ずくめの一夜が大勝を後押しし、チームは次戦、金曜に行われるワシントン・ミスティックス戦へと向かいます。記録の重みを背負いながら、グライナーがどんな守備でゴール下を守り続けるのか。歴代最多ブロックという肩書きを得た今、彼女の一挙手一投足にこれまで以上の注目が集まります。WNBAのディフェンスの歴史を塗り替えた選手の次の一本を、ぜひ見届けてみてください。

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