ケイトリン・クラーク

「彼女は政治の駒にされている」ついに沈黙を破ったシルバー、クラーク騒動の介入報道には最後まで答えなかった夜

 

6月24日のフレグラントファウル騒動以降、その真意が憶測を呼び続けてきたNBAコミッショナーが、ついに公の場で口を開きました。7月16日夜(現地時間)、ニューヨークで開催されたCNBCとBoardroomの共催イベント「Game Plan」の壇上で、アダム・シルバーはケイトリン・クラークを巡る一連の騒動について「彼女はこの国で少しばかりポリティカル・フットボール(政治の駒)のようになってしまった」と語ったのです。

注目されていたリーグ介入報道への回答は最後まで避けながら、問題の本質を「審判ではなく政治化」と断じた今回の発言。単なる火消しでは終わらない重みを感じさせる一夜となりました。

「審判の問題ではない」──介入報道を否定も肯定もしなかったシルバー

発端となったのは6月24日、フィーバー対マーキュリー戦(111-109でマーキュリー勝利)でのワンプレーです。ルーズボールの場面で立ち上がろうとしたアリッサ・トーマスが、握った拳をクラークの首元に押し付けたとして、フィーバー側の申し立てを受けたリーグが映像を再審査。試合後にフレグラント2への格上げと1試合の出場停止処分を発表しました。

この処分を巡り、Sports Business Journal(スポーツ・ビジネス・ジャーナル)は「シルバーがWNBAのキャシー・エンゲルバートコミッショナーに処分を迫った」と報道。壇上で真偽を問われたシルバーは、報道の正確性を否定しないまま「クラークにもエンゲルバートにもフェアではない」との理由でコメントを拒みました。否定できたはずの場面で否定しなかったという事実は、それ自体が雄弁だったと言えるでしょう。詳細はThe Athletic発のレポートで確認できます。

2024年から続く判定問題、タスクフォース設置でも消えない火種

判定と過度な接触の問題は、クラークがリーグ入りした2024年以降、WNBA最大の火種であり続けてきました。リーグも手をこまねいていたわけではなく、今オフにはGMとヘッドコーチ計8人によるタスクフォースを設置。イリーガルコンタクトの徹底、ディフェンス3秒ルールの厳格化、合法と違法の接触の線引きの明確化を優先課題に掲げ、ベテラン審判のエリック・ブルートンをアドバイザー職に新設起用しています。シルバー自身も今回、審判の改善が必要なことには「疑いの余地はない」と認めました。

一方で、処分を受けたトーマス側の状況も見過ごせません。彼女は処分の通知をSNSでの発表の約10分前に受けたと明かしており、その後、本人と家族には殺害予告や人種差別的な中傷が殺到しました。同日先立つパネルに登壇したエンゲルバートも、選手へのネット上の誹謗中傷を「容認できない」と非難。オールスターに選出された選手たちがこの問題についてエンゲルバートと面会する動きも報じられています。騒動の被害が両陣営に及んでいることこそ、この問題の根深さを物語っています。

「政治化」への切り分けは誰を守るのか──巨大化する商業価値との表裏一体

シルバーが争点を「審判問題」から「政治化」へと切り分けた構図は、クラーク個人を守る意図と同時に、リーグの統治を巡る疑念から目をそらす効果も持ちます。シルバーは30年前にWNBAの最初の事業計画を書いたメンバーの一人だと自ら明かしましたが、それはNBA本体がWNBAの意思決定に影を落とし得る構図を、皮肉にも裏付ける発言にも聞こえました。

数字を見れば、騒動の過熱は必然でもあります。7月12日のフィーバー対エーシズ戦は平均視聴者数264万人、ピークは280万人に達し、2026年シーズン最多。2000年以降では歴代2位の視聴者数を記録した一戦でした(詳報はこちら)。クラークの商業的価値が大きくなるほど、彼女を巡る言説は加速度的に過熱する──この構造が変わらない限り、エンゲルバートの進退論がくすぶるリーグにとって、処分プロセスの透明化とガバナンスの整理は、CBA交渉と拡張を控えた今まさに待ったなしの課題だと考えます。

フィーバーの今後の試合情報

フィーバーは次戦でシアトル・ストームと対戦予定ですが、クラークとアライヤ・ボストンの2人がインジャリーレポートに名を連ねており、出場可否が焦点となります。また、次のNBC全国放送は8月23日(現地時間)、シカゴのウィントラスト・アリーナで行われるスカイ戦です。政治の駒ではなく一人の選手として、クラークがコートで輝く姿を見られることを願うばかりです。

引用:https://sports.yahoo.com/articles/adam-silver-calls-caitlin-clark-233104988.html

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