「私の目には1996年からGOATです」──MVP4度のエイジャがGOAT論に返した”ありがとう、でも何?”という二段構えの本音

 

WNBAが30周年シーズンの折り返しを過ぎたこのタイミングで、エイジャ・ウィルソンがESPNのマリカ・アンドリュースによるインタビューに応じ、自分をめぐって膨らみ続ける「史上最高の選手(GOAT)」論に正面から答えました。MVP4度、優勝3度という数字を積み上げてきた本人が返したのは、賛辞をそのまま受け取る言葉でも、謙遜だけで逃げる言葉でもありませんでした。称賛に戸惑いながら、最後には笑いながら自分を肯定してみせる。その二段構えの答え方に、いまのエイジャの立ち位置が凝縮されていたように感じます。

「ありがとう、でも何?」──称賛に戸惑いを見せた前半の答え

アンドリュースから、すでに多くの選手やファンが自分をGOATと呼んでいることをどう思うかと問われたエイジャは、まず率直に戸惑いを口にしました。これまでGOAT候補として名前が挙がってきた選手たちを思い浮かべると、自分のキャリアの現時点で同じリストに載ることは想像もできない、という趣旨の説明です。そして「まだやることが山ほどある」と言い、もっと欲しいものがあると続けました。褒められたときの心境については、ClutchPointsが伝えた通り「ありがとう、でも何?」という言い方をしています。

ところがアンドリュースが「キャリアを終えたときには自分をGOATだと思っているか」と質問を重ねると、答えの色が変わります。「私のことだから、たぶんそう思う」と笑ったうえで、すぐに「でも、そうかな? わからない」と自分で打ち消す。そして最後に出てきたのが、この日いちばん話題になった一言でした。「私の目には、1996年からずっとGOATです」。1996年は彼女が生まれた年であり、同時にWNBAが創設に向けて動き出した年でもあります。冗談めかしていながら、自負が透けて見える返しでした。

9シーズンで積み上げた数字と、2025年に達成した“史上初”

この議論が成立してしまう理由は、経歴を並べれば一目でわかります。9シーズンでMVP4回はリーグ史上唯一の記録で、最優秀守備選手賞3回、オールWNBA6回、オールスター選出はプロ入りから8年連続。得点王2回、ブロック王5回、オリンピック金メダル2個も加わります。個人賞のカテゴリーをひと通り制覇したうえで、チームの優勝3回も持っているわけです。

決定打になったのが2025年でした。この年、MVPと最優秀守備選手賞とファイナルMVPを同時受賞し、さらに平均得点でもリーグトップに立ちました。この4つを1シーズンで揃えたのは、WNBAだけでなくNBAを含めても史上初です。マーキュリーをスウィープしたファイナルでは平均28.5得点11.8リバウンド4.0アシストを記録しました。個人賞レースとチームの結果を同じシーズンに最大化できる選手は、そう何人も現れません。

2026年も勢いは落ちていません。最初の25試合で平均26.2得点、フィールドゴール成功率53.7%、9.7リバウンド、3.0アシスト、2.0ブロック、1.6スティール。得点効率を保ったまま守備の指標も高い水準にあり、前人未到の5度目のMVPが現実的な射程に入っています。優勝についても、あと1つ積めば通算4度目。選手個人の優勝回数の歴代最多はレベッカ・ブランソンの5度なので、その背中がはっきり見えてきた位置です。

「最大の障害はエーシズ自身」という自己診断

興味深かったのは、連覇を阻む最大の壁は何かと聞かれたときの答えです。エイジャは対戦相手の名前をひとつも出さず、「最も難しい障害はエーシズ自身」だと言い切りました。全員が同じものを欲しがっているがゆえに、気づかないうちに自分たちで足を引っ張ってしまうことがある、という趣旨の説明です。シーズンの半分以上を消化してもまだアイデンティティを探している、とも語っています。

この発言は、木曜時点で19勝8敗・リーグ2位、直近10試合で7勝という戦績と並べると余計に重く響きます。数字だけ見れば十分に優勝候補です。それでも中心選手が「自分たちが最大の敵」と言うということは、勝ち方に再現性がないという実感があるのでしょう。実際、エーシズは7月に48点差の大勝と34点差の大敗を短期間で経験しています。振れ幅の大きさこそが、この自己診断の根拠だと考えると腑に落ちます。

そしてインタビューが公開された当日、エーシズはリバティを104-99で下し、今季20勝目を挙げました。エイジャは後半に得点を伸ばしてチームを押し上げています。皮肉なことに、本人が課題を口にした直後にリーグ屈指の強敵を倒してみせたわけで、この振れ幅の広さこそがエーシズという集団の正体なのかもしれません。

今後の注目ポイント

まず目の前にあるのが8月2日のトレード期限です。リーグ全体が動く可能性のある数日間で、優勝候補の各チームがどう補強するかによって、エーシズが想定すべき相手も変わります。そのうえで、5度目のMVPレースと4度目の優勝という二つのテーマが後半戦を通して並走していくことになります。GOAT論争は、この2つの結果が出るまで決着しないでしょう。

本人が「まだやることがある」と言い続けている以上、この議論は当分終わりません。むしろ、終わらせないために走り続けているようにも見えます。後半戦のエーシズは、彼女の言葉が自己認識として正しかったのかを検証する時間になりそうです。

引用:https://clutchpoints.com/wnba/las-vegas-aces/aces-news-aja-wilson-drops-bars-on-goat-chatter-championship-repeat-chances

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