インディアナ・フィーバーのケイトリン・クラークが、7月31日にモダ・センターで行われたポートランド・ファイア戦で、キャリア通算4度目のトリプルダブルを記録しました。チームは112対98で勝利し、連勝を5に伸ばしています。トリプルダブルそのものも大きな話題ですが、個人的に一番驚いたのは中身のほうでした。フィールドゴールはわずか9本しか打っていないのに26得点。フリースローを17本も獲得しているのです。豪快な3ポイントの印象が強い22番が、いつの間にか「相手の反則を引き出して得点する選手」に変わりつつある。その変化がはっきり数字に出た一戦でした。
26得点10リバウンド10アシスト、フィールドゴール9本試投という異例のスタットライン
この試合のクラークのスタッツは、26得点、10リバウンド、10アシスト、2スティール、ターンオーバー4。フィールドゴールは5本成功9本試投で、フリースローが14本成功17本試投でした。得点の半分以上をフリースローで積み上げた計算になります。1試合17本のフリースロー試投は、シュートを打ちにいく選手というより、ペイントに突っ込んで接触を作りにいく選手の数字です。
トリプルダブルとしてはこれが今季初。ルーキーイヤーの2024年に2度、負傷で出場が限られた2025年に1度記録しており、通算4度はサブリナ・イオネスクと並ぶWNBA歴代3位タイとなりました。上にいるのはアリッサ・トーマスの20度と、ジェシカ・シェパードの5度だけです。トーマスの20度が異次元すぎて霞みがちですが、キャリア78試合の時点で4度というペースは十分に異常な部類に入ります。
チームとしても記録づくめの夜でした。フィーバーはこれで今季13度目の100得点ゲームとなり、自ら持つWNBA記録をさらに更新。6人が二桁得点に届き、ケルシー・ミッチェルもクラークと並ぶチーム最多タイの26得点を挙げています。ミッチェルはこれで13試合連続の20得点以上となり、ダイアナ・トーラシと並ぶ歴代2位タイの連続記録に到達しました。
スー・バードの116試合を、78試合で塗り替えた
この試合でクラークは、通算1500得点500アシストにWNBA史上最速の78試合で到達しました。これまでの最速はスー・バードの116試合です。38試合、シーズンにしておよそ1年分を短縮したことになります。
数字の意味を分解すると、この記録が持つ意味がよりはっきりします。1500得点と500アシストを同時に満たすには、エーススコアラーであることと、チームの司令塔であることを同時にこなす必要があります。片方に寄った選手ではこの線を最速では越えられません。しかも、クラークは2025年に負傷で長期離脱しており、その分の試合数が丸ごと抜けています。それでも「試合数ベース」の記録で歴代最速に立ったというのは、1試合あたりの生産量がいかに突出しているかの裏返しです。
指揮官のステファニー・ホワイトは試合後、彼女が今チームのために伸ばし続けている領域としてディフェンスリバウンドを挙げ、得点とアシストは常にできていると評しました。ホワイトによれば、以前クラークは「守備側ではボールのほうが自分のところに来ていた」と話したことがあり、それに対して「今は自分から取りにいかないといけない」と返したそうです(CBSスポーツ)。この試合の10リバウンドは、その会話の答え合わせだったのかもしれません。
「3ポイントの選手」という看板が、静かに外れていく
ここからは独自の見立てになりますが、今季のクラークで注目すべきは、得点の作り方が明らかに変わってきている点だと考えています。ルーキーイヤーの彼女はロゴ付近からの3ポイントで会場を沸かせる存在でした。しかしフリースロー17本という数字は、ディープスリーではなく、ペイントアタックとファウルドローで確実に点を積む方向に軸足が移っていることを示しています。
これは長期的なキャリア設計として理にかなっています。3ポイント依存の得点は日によって上下が激しく、対戦相手のスカウティングにも消されやすい。一方でフリースローは、相手が守れば守るほど増えていく得点源です。加えて、リバウンドとアシストが同時に伸びているということは、彼女がボールを持っていない時間帯でも試合に関与できているということでもあります。トリプルダブルは、その「関与の総量」が可視化された結果に近いはずです。
フィーバーは19勝10敗となり、イースタン・カンファレンス1位、リーグ全体でも4番目の勝率につけています。攻撃は完全に軌道に乗りました。あとは失点をどこまで締められるか。プレーオフに向けて、そこが最後の宿題になりそうです。
関連情報
トレード期限は日本時間8月3日未明に締め切りを迎えます。フィーバーがここで動くのか、それとも現有戦力のまま後半戦に入るのか、クラークとミッチェルが同時に走っているこのタイミングでの判断は、そのままシーズンの結末に直結します。ミッチェルの20得点以上連続記録がどこまで伸びるのかも含め、ここからの数試合は目が離せません。

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