WNBAの1試合3ポイント成功数の記録が、ついに書き換わりました。現地8月9日、ミネソタ・リンクスのケイラ・マクブライドがターゲットセンターでダラス・ウィングスを相手に3ポイントを10本沈め、リーグ史上初めて1試合2桁の3ポイントに到達しました。得点はキャリアハイの43。13年目のベテランが、本拠地の観客の前でリーグの歴史を動かしたことになります。
第一報を見て最初に目が留まったのは、10本という成功数よりも、その分母でした。試投はわずか14本。つまりこの日のマクブライドは「たくさん打ったから当たった」のではなく、選んだ14本のうち10本を落としたということです。記録は偶然の産物ではなく、狙って積み上げた結果に近い形でした。
14本中10本、フィールドゴール21本中16本という一夜の異常値
数字を並べると、この試合の非現実さがよく分かります。3ポイントは14本中10本で成功率71.4%、フィールドゴール全体では21本中16本で76.2%。43得点はキャリアハイで、リンクスは103対90でウィングスを下しました。
記録を塗り替える10本目が決まったのは、残り2分23秒。このシュートでリンクスは98対83とリードを広げました。マクブライドは残り1分21秒でコートを退き、総立ちの観客から大きな拍手を受けています。試合後には「こういう瞬間があるから、自分の決断が正しかったと分かるんです」と語りました。
チーム全体でも3ポイントは39本中18本成功で、これは球団の1試合最多成功数の記録更新です。オリビア・マイルズが20得点13アシスト、ナフィーサ・コリアーが17得点、ナターシャ・ハワードが12得点と、周囲も噛み合いました。リンクスはこれで27勝7敗となり、直近13試合で12勝。リーグ全体でも一番乗りでプレーオフ進出を確定させています。
「9本」の壁には8人が触れていた、それでも誰も越えられなかった
従来の記録は1試合9本で、これは過去に8回記録されていました。今季だけでもトロントのマリーナ・メイブリーがわずか6日間のうちに2度到達し、直近は6月25日のことです。アトランタのライン・ハワードも過去に2度9本を記録しています。
つまり「9本」は決して到達不可能な数字ではなく、むしろここ数年で複数の選手が繰り返し触れてきた天井でした。それでも10本目だけは、誰の手にも残らなかったのです。3ポイントの試投数がリーグ全体で増え続けているなかで、この1本の差がどれだけ重いかが分かります。
到達したのがキャリア13年目のマクブライドだった、という点も見逃せません。5度のオールスター選出、ユーロリーグ4度制覇という経歴を持ち、ミネソタでは5シーズン半にわたってプレーしてきました。ドラフト直後の若手が一夜で塗り替えたのではなく、リーグで最も長くシュートを打ち続けてきた部類の選手が記録を書き換えたところに、この一件の面白さがあります。
なぜ「今のリンクス」でこの記録が出たのかを考える
個人的に注目したいのは、この記録がリンクスの好調と完全に重なっているという事実です。ミネソタは直近6試合のうち4試合で100点を超え、前日の土曜には98得点を挙げて王者ラスベガスに11点差をつけていました。チームの得点力そのものが、記録の出やすい土壌をつくっていたわけです。
構造として効いているのは、オリビア・マイルズの存在だと見ています。20得点13アシストという内訳は、自分で決め切る力とパスの両立を示す数字です。加えてコリアーがインサイドで守備を引き寄せれば、外に開いた選手には必然的にノーマークの時間が生まれます。マクブライドが14本しか打たずに10本沈められた背景には、良い状態のシュートだけを選べる環境があったと考えるのが自然でしょう。
裏を返せば、この記録は個人の当たり日であると同時に、リンクスのオフェンス設計の完成度を示す指標でもあります。27勝7敗という数字は、単に強い選手を集めたチームのそれではなく、噛み合ったチームのそれです。プレーオフでは守備の圧力が上がり、これほど楽な状態のシュートは減ります。そのときにマクブライドとマイルズが何本の「良いシュート」を作れるかが、そのままミネソタの上限になっていくはずです。
今後の見どころ
リンクスはリーグで最初にプレーオフ進出を決めたため、ここから先の主題はシード順位と調整に移ります。マクブライドの3ポイントがこの水準を保てるかどうか、そしてマイルズがゲームメイカーとして安定して二桁アシストを供給できるかは、レギュラーシーズン終盤の見どころになりそうです。今後の日程や中継予定はWNBA公式サイトや各リーグ公式記録で確認できます。
一夜の10本は、記録としては1行で終わります。ただ、その1行が生まれる条件を揃えるには何年もかかる、ということを改めて感じさせる試合でした。
引用:https://apnews.com/article/minnesota-lynx-wnba-record-df51205b9715dce00115469eea74b5b4

WNBA FAN BLOG運営者/バスケットボールジャーナリスト
WNBA・NBAをこよなく愛し、バスケットボール歴30年以上。特にWNBAの魅力を日本に広げるため、2025年5月に WNBA FAN BLOG をスタートしました。試合結果や選手情報だけでなく、独自の視点による戦術分析や選手インタビュー、海外ニュースの速報翻訳まで幅広くカバーしています。
現在、日本国内では数少ないWNBA専門メディアとして、最新ニュースをどこよりも速く正確にお届けすることをミッションにしています。
得意分野
試合分析・戦術解説
選手のデータ分析(EFF、PER など)
海外ニュース速報翻訳(英語 → 日本語)
サイト目標
日本最大の WNBA 情報ポータルサイト構築
日本のバスケットボールファンコミュニティ作り
関連 SNS アカウント
X(Twitter):@WNBAJAPAN
フォローしてWNBA の最新情報をキャッチしてください!





