ナカセHC

PERが4.6から15.9へ──3巡目30位で一度は解雇されたケイトリン・チェンが、バルキリーズのベンチを支配するまでの2年間

 

2026年のゴールデンステート・バルキリーズが西地区の上位でシーズン終盤を迎えるなか、静かに評価を書き換えている名前があります。ケイトリン・チェン、24歳のガードです。2025年のドラフトでは3巡目全体30位、名前を呼ばれたときは指名テーブルではなく客席にいました。その年の5月に一度は解雇され、2年目に入っても「なぜロースターに残っているのか」という声を浴び続けた選択が、いまチームの試合を左右する場面で報われています。個人的に驚いたのは、この伸び方が「出場時間が増えたから」というだけでは説明できないところです。

平均7.1得点の中身、FG53.9%が示すもの

Basketball-Referenceの集計によれば、チェンの2026年は平均14.5分の出場で7.1得点2.1アシスト、フィールドゴール成功率53.9%、3ポイント35.7%という内容です。ルーキーイヤーは平均10.3分で2.0得点、FG38.0%でしたから、出場時間がおよそ1.4倍になった一方で、得点は3.5倍に膨らんだ計算になります。

効率の指標はさらに極端です。eFG%は43.0%から58.5%へ、トゥルーシューティングは45.2%から60.4%へ、PERは4.6から15.9へと跳ね上がりました。もっとも意味が大きいのはターンオーバー率で、25.3%から17.0%まで下がっています。使用率を13.4%から22.5%へ引き上げながらミスを減らしたという事実は、役割が重くなっても壊れないガードであることの証明だと考えています。7月20日のミスティックス戦では24分の出場でFG13本中8本を沈め、キャリアハイの20得点を記録しました。

プリンストンからUConn、そして一度の解雇

チェンの経歴は最短距離ではありません。プリンストンでは3シーズンで平均14.2得点3.9アシスト3.5リバウンドを残し、アイビーリーグのトーナメントを3年連続で制してそのすべてで最優秀選手に選ばれ、2023年にはカンファレンスの年間最優秀選手にもなりました。ただアイビーリーグは大学院生の競技参加を認めていないため、5年目はUConnへ移り、ペイジ・ベッカーズやアジー・ファッドと並んで平均6.9得点3.4アシストという役割を担っています。

そのうえでの3巡目指名、そして解雇と再契約でした。バルキリーズにはWNBA史上初のアジア系アメリカ人ヘッドコーチであるナタリー・ナカセがいて、チェンは台湾系のルーツを持つ初のWNBAプレーヤーです。この重なりは本来なら祝福されるはずでしたが、一部のファンからは「ナカセがチェンを優遇している」という声も出ました。2026年の開幕前に人気の高いケイト・マーティンをロースターから外した判断が、その空気をさらに強めています。チェン自身もスー・バードのポッドキャストで、アイデンティティによって枠にはめられる難しさに触れています。

数字が黙らせた議論と、2028年に待つ現実

議論を終わらせたのはコート上の結果でした。ベロニカ・バートンとギャビー・ウィリアムズが停滞する時間帯にチェンが入ると、流れが変わる試合が今季は繰り返されています。7月のフィーバー戦では第3クォーターだけで12得点を挙げ、この試合後にウィリアムズは「6POTY候補を複数抱えているのはうちくらいでしょう」と語りました(Winsidr)。シックスプレーヤー賞の最有力とされるジャネル・サラウンと、そのベンチユニットを二人で回している形です。

一方で、明るい話だけではありません。リーグは拡張の途上にあり、2028年、2030年とエクスパンションドラフトが控えています。層の厚いチームほど守り切れない選手が出るのが構造上の宿命で、今のバルキリーズはまさにその典型です。3巡目指名から2年で「トレードの目玉として名前が挙がる駒」に変わったこと自体が、皮肉にもチェンの価値の証明になってしまいました。

今後の見どころ

バルキリーズはレギュラーシーズン終盤に入り、上位シードを争う位置にいます。プレーオフでベンチの得点力がどこまで通用するのかは、ナカセ体制2年目の最大の試金石です。チェンが第2クォーターと第4クォーター頭の数分で何点を積めるか、そのあたりを意識して見ると、バルキリーズの試合はかなり面白くなるはずです。

引用:https://winsidr.com/2026/08/the-x-factor-kaitlyn-chens-meteoric-rise/

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