ウェンビー

昨夏は少林寺、今夏はラグビー──ウェンバンヤマがプロヴァンス・ラグビーで過ごした非公開の4日間とバーンズの同行

 

オフシーズンのビクター・ウェンバンヤマは、毎年どこか予想のつかない場所にいます。昨年の夏は中国で少林寺の僧侶とともに過ごし、今年はフランス南部のラグビーのグラウンドに立っていました。合流先はプロヴァンス・ラグビー、フランス2部にあたるプロD2のクラブです。滞在は4日間。しかもスパーズのチームメートであるハリソン・バーンズまで同行していたと聞くと、これは単なる思いつきの体験ではなく、明確な設計のあるオフだったのだろうと感じます。

エクス=アン=プロヴァンスで過ごした4日間

現地紙ミディ・オランピックとラ・プロヴァンスによると、ウェンバンヤマが合流したのはエクス=アン=プロヴァンスで行われていたプロヴァンス・ラグビーのプレシーズン活動でした。ジムでのウエイトセッションに加えて、ラグビー用のブーツを履いてフィールド上のドリルにも参加したと伝えられています。周囲の驚きをよそに、選手たちの日常生活そのものに入り込んでいたという報道もありました。

興味深いのは、この4日間がほぼ非公開で進められた点です。ウェンバンヤマがラグビーのドリルをこなす映像は一切公開されていません。SNSでの発信が当たり前になったこの時代に、あえて記録を残さない形を選んでいます。見せるための企画ではなく、身体をつくるための時間だったと解釈するのが自然でしょう。

少林寺からラグビーへ、一貫している一つの狙い

ウェンバンヤマは以前から、ラグビーチームと一緒にトレーニングをしてみたいという構想を口にしていました。今回はその計画をそのまま実行に移した形です。目的として語られているのは、バスケットボールとは異なる動作パターンと身体的な負荷に体をさらすこと。この一点において、昨夏の少林寺での経験と今回のラグビーは同じ線の上に並んでいます。

考えてみれば、この発想はきわめて理にかなっています。ラグビーのスクラムやラック、タックルという動作は、低い重心で相手の力を受け止め、下半身から体幹、上半身までを一本の連結として使うことを要求します。一方でバスケットボールの、とりわけ長身選手のポストでの押し合いやスクリーンでの接触は、まさに同じ能力を問われる場面です。ウェイトルームで扱う重量を増やすアプローチとは別の角度から、接触に強い体をつくろうとしているわけです。2メートル20台という規格外の体格を持つ選手にとって、可動域を損なわずに接触耐性を上げることは長年の課題であり続けてきました。

ファイナルで敗れた夏に、あえてコンタクトスポーツを選んだ意味

スパーズは今季ファイナルに進みながら、頂点には届きませんでした。その悔しさを抱えた夏に、ウェンバンヤマがバスケットボール以外の競技へ体を預けたという選択には、それなりの意思を感じます。シュートの本数を増やす、映像を見返す、といった内向きの延長線ではなく、体そのものの前提条件を書き換えにいく発想です。

もちろん、リスクがないとは言えません。ラグビーは接触の激しい競技で、契約上も保険上もNBA選手が積極的に関わる領域ではありません。実際にウェンバンヤマがどこまで実戦的な接触に踏み込んだのかは、映像が出ていない以上わからないままです。おそらくクラブ側もスパーズ側も、そこには相応の線を引いていたはずです。それでも、バーンズという百戦錬磨のベテランが同行したという事実は、この取り組みがチーム内で一定の理解を得ていたことを示していると私は考えます。

2026-27シーズンに向けて

規格外の体格に加えて、接触の局面で押し負けない強度を身につけたウェンバンヤマがどう変わるのか。フィジカルの改善は数字にすぐ表れるとは限りませんが、リバウンドの競り合い、ポストでの守備、そしてゴール下でのファウルの受け方といった細部に、この4日間の影響が出てくるかもしれません。開幕後は、得点やブロックの数字だけでなく、接触が起きた後にどれだけ姿勢を保てているかという視点でも見てみると面白いはずです。今オフのスパーズの動きと合わせて、追いかける価値のある夏だったと言えます。

引用:https://sportando.basketball/en/wembanyama-trains-with-a-rugby-team-spends-four-days-with-provence-rugby/

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