9月4日、ベルリンで女子バスケットボールのワールドカップが開幕します。ドイツにとっては1998年以来28年ぶりの本大会出場であり、しかも自国開催です。その主役になるはずだった一人が、開幕を2週間半後に控えたタイミングで大会を諦めました。ニューヨーク・リバティのサトゥ・サバリーが、脳震盪からの回復を優先するとして、母国開催のワールドカップを欠場すると自ら発表しています。個人的には、驚きよりも「やはり」という感情のほうが先に来ました。彼女がコートから消えてから、すでに2カ月近くが経っていたからです。
6月23日で止まったままの時計
サバリーが最後にプレーしたのは、6月23日のラスベガス・エーシズ戦です。リバティが87対76で勝った試合でしたが、彼女自身の出場時間はわずか8分、得点は0、リバウンド3という内容でした。この試合で受けた脳震盪以降、彼女は一度もコートに戻れていません。8月13日にはチームを離れて回復に専念することが明らかになり、そこから1週間も経たないうちに、今回の代表辞退が続いた形です。
今季の数字を並べると、状態の悪さがはっきり見えてきます。平均10.4得点2.8リバウンド1.9アシスト、出場時間は16.8分にとどまりました。フィールドゴール成功率45.9%、3ポイント成功率38.5%と効率そのものは悪くないのですが、キャリア平均の15.4得点6.4リバウンド3.2アシスト、出場27.8分という数字とは別人のようです。3度のオールスター選出と最優秀成長選手賞を持つ28歳の6フィート4インチのフォワードが、シーズンの大半をベンチとロッカールームで過ごしたことになります。
1年で2度目という重さ
今回の脳震盪が深刻なのは、これが1年のうちで2度目だからです。1度目は昨秋、フェニックス・マーキュリー在籍時のWNBAファイナル第3戦で起きています。頭部の外傷は、骨折や靭帯損傷のように「あと何週間」と区切れる種類の怪我ではありません。回復の判断基準が本人の症状に強く依存するため、復帰の目処が立たないまま時間だけが過ぎていくことがしばしばあります。サバリーの2カ月は、まさにその典型でした。
本人はインスタグラムで、「今は体の声を聞き、健康を第一に、完全な回復を優先しなければなりません」と説明しています。母国でのワールドカップは何年もかけて目指してきた舞台であり、離れた場所からチームを応援すると付け加えました。数年かけて準備してきた目標を自分の判断で手放すというのは、想像以上に重い決断だったはずです。
ドイツが失ったものと、それでも残るもの
ドイツ代表にとっての痛手は、単に得点源が1人減るという話では収まりません。ESPNによれば、サバリーは妹のニアラ・サバリー、レオニー・フィービッヒとともにドイツの中核を担うと見られていました。今大会の組み合わせ抽選でのドイツのシードは11位で、決して上位の位置づけではありません。今大会は16チーム制に拡大され、アメリカが4連覇中の絶対的な本命として君臨しています。その中で開催国ドイツが上位に食い込むには、WNBAで通用するレベルの選手をどれだけ並べられるかが勝負でした。
ただ、悲観だけで終わらせる話でもないと考えています。ベルリンのウーバー・アリーナとマックス・シュメリング・ハレという2会場で行われる今大会は、ドイツ女子バスケにとって28年ぶりの本大会であり、ベルリン市も600万ユーロを拠出して開催を後押ししています。この規模の露出は、結果とは別に競技の裾野を広げる資産になります。サバリーが「離れた場所から応援する」と表明したのも、単なる社交辞令ではなく、この大会が持つ意味を誰よりも理解しているからでしょう。彼女が健康な状態で次のサイクルに戻ってくることのほうが、ドイツにとって長期的な価値は大きいはずです。
リバティ残り試合と大会日程
サバリーを欠いたリバティは22勝14敗でリーグ6位につけています。8月22日にホームでインディアナ・フィーバー、27日にゴールデンステート・バルキリーズ、29日にシカゴ・スカイと戦い、プレーオフのシード争いを続けていきます。ジョンケル・ジョーンズにも負傷の不安が出ているだけに、フロントコートの層の薄さは残り試合の大きなテーマになりそうです。ワールドカップはベルリンで9月4日から13日まで、決勝は13日に行われます。ドイツはグループAに入っており、開幕戦は9月4日です。サバリーの姿はコートにありませんが、彼女が目指してきた景色そのものは、予定どおりベルリンで動き出します。

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