WNBAのレギュラーシーズンが最終盤に入り、各賞のレースがようやく輪郭を見せ始めました。ClutchPointsが8月20日に公開した各賞の本命予想を読むと、今季がいかに例年と違う年なのかがよく分かります。最優秀選手(MVP)の本命は順当にエイジャ・ウィルソンですが、その最有力の対抗馬として名前が挙がっているのが、ルーキーのオリビア・マイルズだからです。新人王を独走している1年目が、同時にMVP票まで奪いにいく。リーグ30年目にしてもなかなか見られない構図です。
得点1位の26.3点と、19.9点6.1アシストのルーキー
エイジャ・ウィルソンは今季も得点でリーグトップに立ち、1試合平均26.3点を記録しています。リバウンドでもブロックでも上位に顔を出しており、攻守どちらの物差しで測っても穴がありません。かかっているのは5度目のMVPで、ClutchPointsも「ウィルソンが依然として倒すべき相手」と結論づけています。
対するマイルズは平均19.9点6.1アシスト4.6リバウンド。ここに添えるべき数字は、リンクスの30勝7敗というリーグ最高の戦績です。その司令塔が新人だという一点だけで、この平均値の意味は変わってきます。WNBA公式は8月20日、マイルズが通算696得点でルーキー通算得点ランキングの3位に浮上したと伝えました。得点も伸ばしながらリーグ屈指のオフェンスを回している、という評価が数字の側からも裏づけられた形です。
さらにケイトリン・クラークも、長期離脱明けから本来の得点力を取り戻したことで議論に加わってきました。ペイジ・ベッカーズ、ケルシー・ミッチェルも票を集める位置にいます。上位4、5人がこれだけ密集した年は珍しく、投票用紙の1位票がどこに散るかで結果が動く可能性は十分にあります。
新人MVPは2008年のパーカー以来、誰も届いていません
新人がMVPを受賞した例は、リーグの歴史で2008年のキャンディス・パーカーただ1度しかありません。18年間、誰も再現できていない数字です。マイルズがここに並ぶには、残り数試合でリンクスを1位のまま走らせ切ることが最低条件になります。
新人王のほうは、ほぼ決着がついたと見てよさそうです。最大のライバルになるはずだったアジー・ファッドが、右膝の負傷で今季を終えてしまったからです。ファッドは30試合で平均13.1点1.8アシスト1.7リバウンド1.7スティール、3ポイント成功率は約40%という立派な数字を残していました。全体1位指名と全体2位指名の新人王争いは、本来なら今季最大の見どころのひとつでした。残るアワ・ファムやフロージェイ・ジョンソンにとって、この差を数試合で詰めるのは現実的ではありません。
守備部門は最後まで割れ、コーチ賞はリーブに傾いています
最優秀守備選手(DPOY)は、今季もっとも読めない賞です。連覇を狙うウィルソンに対し、バルキリーズのギャビー・ウィリアムズが外周からの圧力で強力に対抗し、ミスティックスのシャキーラ・オースティンも内線での存在感で候補に入っています。ナターシャ・ハワード、そしてリバウンドとフィジカルな守備で目を引くエンジェル・リースも議論の輪に加わりました。ビッグマン型とウイング型のどちらを守備の価値と見るか、という古くて新しい問いが最後まで残りそうです。
最優秀コーチはシェリル・リーブが一歩リードしています。ロースターの大半を入れ替え、故障者を抱えながらリンクスを首位圏に置き続けたうえ、今季はWNBA歴代最多勝利監督にも到達しました。バルキリーズを2年連続で競争力のある集団に仕上げたナタリー・ナカセ、上位を維持したベッキー・ハモン、フィーバーのステファニー・ホワイト、ミスティックスのシドニー・ジョンソンも候補です。最優秀成長選手はウィングスで役割を広げたジェシカ・シェパード、シックスマンにあたる最優秀6人目はバルキリーズのジャネル・サラウンが本命に挙がっています。
筆者が気になっているのは、リーブがコーチ賞を獲り、その教え子がMVP票を分け合うという構図です。ウィルソンの個人成績とマイルズのチーム成績、投票者がどちらの物語を選ぶのか。数字だけでは決まらない賞である以上、残り数週間の負け方ひとつで空気は変わります。
この先の日程
WNBAはこの後もプレーオフ争いと表彰レースが並走する日程が続きます。さらに9月4日から13日にはベルリンでFIBAワールドカップが開催され、リーグを代表する選手たちが各国のユニフォームで顔を合わせます。シーズン終盤の数試合が、そのまま各賞の最終面接になる時期です。
引用:https://clutchpoints.com/wnba/wnba-stories/wnba-2026-season-award-frontrunners

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