17年目の39歳が、シーズン終盤にユニフォームを脱ぎました。マーキュリーは8月24日、デワナ・ボナーとの契約をバイアウトすることで合意したと発表しています。ボナーはウェーバー公示にかけられ、どのチームにも獲得されなければ完全なフリーエージェントとなり、行き先を自分で選べる立場になります。放出でも決別でもなく、最後のプレーオフを探しにいくための円満な手続きだという点が、この一件を単なる契約整理から特別なニュースに変えています。
13勝24敗のチームで、37試合中26先発だった一年
今季のマーキュリーは13勝24敗でプレーオフ進出が消滅しました。昨季はファイナルまで勝ち上がり、エーシズにスウィープされた末の準優勝でしたから、一年での落差は相当なものです。その中でボナーは37試合に出場して26試合で先発し、平均10.6得点6.1リバウンド1.5アシスト1.2スティールを残しています。39歳という年齢を考えれば十分な数字ですが、彼女が求めていたのは平均得点ではなく、10月にコートへ立つ権利でした。
ゼネラルマネージャーのニック・ウレンは声明で、リーグの多くのチームなら検討すらしない対応だったと受け取れる説明をしています。ボナーの代理人マイク・カウンドはESPNに対し「彼らは素晴らしかったです」と球団の姿勢を評価しました。揉めた末の離脱ではないことを、球団側と選手側の双方が明確にしている珍しいケースです。
補足しておくと、ウェーバーは上位指名権の順に獲得を主張できる仕組みで、誰かが権利を行使すれば残りの契約を引き継ぐ形になります。逆に全チームが見送れば、ボナーは自分で交渉相手を選べます。優勝を狙う立場のチームほど手を挙げにくく、結果的に本人の希望が通りやすい。今回の合意が「優勝挑戦のための措置」として成立しているのは、この構造があるからです。
通算得点歴代3位、8000点は史上3人目という重み
ボナーのキャリアは、そのまま現代WNBAの厚みそのものです。2009年ドラフト全体5位でフェニックス入りし、最初の10年で2度の優勝と3度のシックスマン賞を経験しました。オールスターは通算6回、オールWNBAは2回、2015年にはオールディフェンシブチームにも選ばれています。その後コネチカットで5シーズンを過ごし、2025年にフィーバーと契約しましたが1シーズンを待たずに離れ、古巣フェニックスへ戻ってきました。
積み上げた数字はさらに重く、通算得点はリーグ史上3位、8000点到達は史上3人目です。リバウンドは5位、スティールは6位、3ポイント成功数は10位、出場時間は3位、ブロックも20位に入っています。得点だけの選手でも守備だけの選手でもなく、あらゆる項目の上位に名前がある。この種の記録の残し方をする選手は、そう何人も出てきません。
2025年のフィーバー移籍が1シーズンも続かなかったことは、当時大きな話題になりました。ただ、そこからフェニックスに戻ってファイナルまで到達し、翌年に自ら次の場所を探しにいくという流れを見ると、この選手が最後まで「勝てる場所」を基準に動いてきたことがよく分かります。
「何が待っているかは分かりません」という言葉の意味
ボナー本人は、キャリアのこの段階では未来が分からないとしたうえで、最後になるかもしれないポストシーズンの機会を与えてくれたマーキュリーに感謝すると述べています。引退を明言してはいませんが、「最終盤」という前提でこの動きが行われたことは、球団側の声明からも明らかです。
ここから注目すべきは、ウェーバーで彼女を拾うチームが出るかどうかです。プレーオフを狙う上位陣にとって、ベンチから10点前後を計算できて守備でも動ける39歳は、短期決戦で効く駒になり得ます。一方で、シーズン終盤にローテーションを組み替えるリスクを嫌う陣営もあるはずです。優勝候補が「もう一枚のベテラン」を欲しがるか、それとも現状維持を選ぶか。今週のうちに答えが出ます。
残りシーズンと、これから見るべきポイント
マーキュリーは消化試合に入りましたが、ボナーの去就はプレーオフ争いの上位チームに直接影響します。彼女がどのユニフォームに袖を通すのか、あるいはどこにも行かずに今季を終えるのか。8000点を積み上げた選手のキャリア最終章がどこで書かれるのかという意味でも、今週のウェーバー期間はWNBAで最も見どころのある数日になりそうです。
引用:https://www.espn.com/wnba/story/_/id/49713360/mercury-buy-dewanna-bonner-seek-title-chance

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