ケルシー・プラム

プラムの本拠地デビューを汚した投げ込み、フェニックスに響いたブーイングと消えない不信

 

8月25日にフェニックスで行われたマーキュリー対ミスティックスの一戦が、第2クォーターの終盤で不自然に止まりました。理由はプレーでも判定でもなく、観客席から投げ込まれた性的な玩具です。8月21日にシカゴで同じことが起きたばかりで、そこからわずか4日しか経っていません。会場にはブーイングが響き、物はすぐに片付けられ、投げ込んだ人物も退場となりました。事実を並べるだけでうんざりしてくるのですが、これがいま何度も繰り返されているというのが、いちばん厄介なところです。

止まったのは第2クォーター、試合は94対84で終わりました

現地で取材するSports360AZのエリアフ・ガベイによると、投げ込みが起きたのは前半残りわずかという時間帯でした。短い中断のあと試合は再開されましたが、13勝25敗のマーキュリーは、23勝15敗のミスティックスに94対84で競り負けています。

この日はケルシー・プラムのフェニックス本拠地デビューでもありました。結果は10得点、シュート12本中4本。ファウルトラブルで出場時間が17分にとどまり、本人が思い描いていた初日にはならなかったはずです。マーキュリーではナターシャ・マックが19得点8リバウンド3ブロック3スティール、カリーア・カッパーが19得点、アリーサ・トーマスがダブルダブルに3スティールを加えました。ミスティックスはソニア・シトロン、キキ・イリアフェン、シャキーラ・オースティンの3人だけで53得点を積み上げています。数字だけ見れば十分に語れる試合だったのに、翌朝の見出しを持っていったのは客席から飛んできた物のほうでした。

4日前のシカゴでは、生涯出入り禁止まで踏み込んでいました

8月21日、スカイがヴァルキリーズを73対70で下した試合でも、第3クォーターに同じ種類の物が投げ込まれています。スカイは翌日に声明を出し、この行為を「破壊的で危険」だと表現しました。球団とウィントラスト・アリーナ、シカゴ市警、そしてリーグがそれぞれ調査に入り、人物が特定されれば訴追を求める方針で、ファン行動規範に違反した場合は生涯出入り禁止の対象になるとしています。

つまり、罰則の枠組みそのものは、もう用意されているのです。それでも4日後にフェニックスで同じことが起きました。ここが今回いちばん重い事実だと思います。抑止が効いていないのではなく、抑止の設計が相手を読み違えている可能性が高い、ということです。

退場や出入り禁止では止まらない理由を、そろそろ直視する時期です

投げ込む側の目的は試合を見ることではなく、映像が拡散されることにあります。会場から追い出されても、生涯出入り禁止になっても、切り抜きが数百万回再生されれば当人にとっては「成功」です。個人への罰を重くするだけでは、この計算式は崩れません。

現実的に効きそうな手は二つあります。ひとつは入場時の持ち物検査の実質的な強化で、これは各アリーナの運用コストの問題です。もうひとつは、放送と球団の公式アカウントが投げ込みの瞬間を一切映さない・出さないという運用の徹底です。拡散の報酬をゼロに近づけないかぎり、罰金や退場は「値段」でしかなくなります。リーグとしては地味で目立たない対策ですが、費用対効果はこちらのほうが高いはずです。

心配なのはこの先です。プレーオフに入れば注目度は跳ね上がり、注目度が上がるほど、承認欲求で動く人間にとっての利回りも上がります。今季すでに複数回起きているという事実は、そのまま9月以降のリスク見積もりに直結します。

関連情報:リーグは9月のワールドカップで中断に入ります

WNBAはこのあと、9月4日から13日までベルリンで開催されるFIBA女子ワールドカップに合わせて中断期間に入ります。プレーオフ争いは最後の1枠を残すのみで、13勝25敗のマーキュリーにとっては苦しい終盤戦が続きます。この中断は、リーグと各球団にとって警備体制を見直すための、事実上最後のまとまった時間でもあります。再開後の会場で、今度こそバスケットボールだけが話題になっていることを願います。

引用:https://sports.yahoo.com/articles/mercury-news-phoenix-mystics-clash-063714237.html

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