ワシントン・ミスティックスがリーグ最年少のロスターで3年ぶりのプレーオフ進出を決めた一方で、その中心にいるソニア・シトロンの数字には、成功と課題がきれいに同居しています。得点は伸び、役割も広がりました。それなのに、ルーキーイヤーに最大の武器だったはずの3ポイントだけが沈んでいます。この矛盾をどう読むかで、ミスティックスの秋の見え方は変わってくるはずです。
17.1得点と30.3%、2年目に生まれた二つの数字
Sports Illustrated傘下のWomen’s Fastbreakが8月12日に伝えたところによれば、シトロンは今季チーム最多の17.1得点に加え、3.9リバウンド、3.8アシスト、1.2スティールを記録しています。ルーキーイヤーの14.9得点から2点以上を上積みしながら、出場時間の増加はおよそ1分、シュート試投数の増加も1本程度にとどまります。時間を増やして稼いだ得点ではなく、密度を上げて積み上げた得点だという言い方ができます。
ところが3ポイントだけは事情が違います。1年目は1試合4.1本を放って成功率44.5%。リーグ屈指の確率でした。今季も試投数は4.1本と変わらないのに、成功率は30.3%まで落ちています。ノートルダム時代の4年間で37%を撃っていた選手ですから、これが平常運転でないことは明らかです。マーキュリー戦で6本中5本を沈めた直後にエーシズ戦で4本中1本という乱高下が、シーズンを通して続いてきました。
司令塔という仕事が増えた分、何かが減っています
理由を探すなら、役割の変化に目を向けるのが自然です。ミスティックスはジョージア・アモーアを含む新人ポイントガードを抱えていますが、そのうち1人はACL断裂からの復帰組です。結果として、オフェンスの入り口をシトロンが担う時間が増えました。ボールを運び、遅い時間帯のショットクロックを削り、勝負どころで最後の判断を下す。得点役と創造役の両方を、2年目の選手が同時に背負っている構図です。
Women’s Fastbreakは、ミスティックスは彼女がベストの状態であることを必要としている、と記しています。裏を返せば、いまはベストではないという指摘でもあります。守備でも相手のエース級を任される場面が多く、負荷はほとんど分散されていません。3ポイントの成功率だけを切り出して不振と断じるのは、この文脈を見落とすことになります。得意技が鈍ったのではなく、得意技に使える余力が減っている可能性のほうが高いと感じます。
チーム14位の外角と、短期決戦が突きつけるリスク
問題はシトロン個人にとどまりません。ミスティックスの3ポイント成功率はリーグ14位です。33%を超えているのはミカエラ・オニェンウェレ、ルーシー・オルセン、そして外角を大きく伸ばしたシャキーラ・オースティンの3人だけ。つまりチーム全体として、外から点を取り返す手段が細いということです。
プレーオフはローテーションが短くなり、相手のスカウティングも精密になります。ペイントを固められたときに外が落ちれば、点の取り方は一気に窮屈になります。レギュラーシーズンなら7連勝のような波で押し切れても、短期決戦では1試合の外角不振がそのままシリーズの結末になりかねません。ミスティックスにとっての最大の分岐点は、シトロンの3ポイントが本来の水準へ戻るかどうか、という一点に集約されていくはずです。
もっとも、悲観だけで語る話でもありません。試投数が1年目とまったく変わっていないのは、本人もベンチも打ち続ける意思を持っている証拠です。確率が落ちた選手はまず本数を減らすものですが、シトロンはそうしていません。オフに経験のあるポイントガードを迎えるか、アモーアが伸びるかすれば、この選手は本来の役割に戻れます。2年目の停滞は、来季の跳ね方を大きくするための助走でもあります。
中断を挟んだ秋の見どころ
WNBAは8月31日からFIBA女子ワールドカップのため17日間の中断に入ります。再開後にはプレーオフが控えており、リーグ最年少ロスターのミスティックスがどこまで勝ち上がれるのかに注目が集まります。シトロンとキキ・イリアフェン、シャキーラ・オースティンを軸にした若いチームが、中断の17日間をどう使って外角の感覚を戻してくるのか。試合そのものと同じくらい、この空白期間の過ごし方が秋の結果を左右しそうです。

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