9月4日、ドイツ・ベルリンでFIBA女子バスケットボールワールドカップ2026が開幕します。WNBAはこの期間、レギュラーシーズンを中断します。理由は単純で、リーグを代表する顔ぶれの多くが、それぞれの母国のユニフォームを着てベルリンに向かったからです。WNBAが9月3日に公表した資料によれば、今大会の各国代表ロスターに名を連ねる現役・元WNBA選手は70人にのぼります。リーグひとつが丸ごと世界へ散ったと言っていい規模で、これは単なる国際大会という枠を超えた出来事だと感じます。
51人の現役と19人の元選手、15球団中14球団が世界へ
WNBAが示した内訳は具体的です。70人のうち現役が51人、元選手が19人。リーグに所属する15球団のうち14球団が、現役選手を代表チームに送り出しています。出場する16か国のうち15か国が、少なくとも1人の現役WNBA選手を擁している計算です。つまりベルリンのコートでは、どのカードを選んでも高い確率でWNBAの現役同士がぶつかり合うことになります。
オールスター選出経験者だけでも16人が参加します。アメリカからはアリーヤ・ボストン、ペイジ・ベッカーズ、ソニア・シトロン、ケイトリン・クラーク、ナフィーサ・コリアー、カリーア・コッパー、チェルシー・グレイ、ライン・ハワード、キキ・イリアフェン、エンジェル・リース、ブリアナ・ステュワート、ジャッキー・ヤングが並び、オーストラリアのエジ・マグベゴア、フランスのドミニク・マロンガとガビー・ウィリアムス、ベルギーのエマ・ミーセマンが続きます。
国別に見ると、現役WNBA選手が最も多いのはアメリカの12人です。次いでフランスが現役・元合わせて10人、オーストラリアが9人、スペインが7人、開催国ドイツが6人と続きます。フランスの厚みは数字にはっきり出ていて、マロンガ、ウィリアムス、マリン・ヨハネスに加えてレイラ・ラカンやカルラ・レイトといった若手も揃います。アメリカに土をつける可能性が語られる理由は、この層の厚さにあります。
ベンチも同様です。現役または元のWNBAコーチ5人が、代表チームの指揮官として大会に臨みます。オーストラリアのサンディ・ブロンデロ、ベルギーのマイク・シボルト、ドイツのオラフ・ランゲ、日本のコーリー・ゲインズ、ナイジェリアのレナ・ワカマという顔ぶれです。アメリカはカーラ・ローソンが率い、ナタリー・ナカセ、ネイト・ティベッツ、ステファニー・ホワイトが補佐に回ります。
2016年は26人だった、10年で起きた地殻変動
この70人という数字の意味は、過去と並べると立ち上がってきます。WNBAが2016年に発表した際、リオデジャネイロ五輪に出場するWNBA選手は26人で、当時はそれが「記録」として扱われていました。あれから10年で、国際大会に出るWNBA関係者の数はおよそ3倍近くに膨らんだことになります。
背景にあるのは、WNBAが海外の若い才能を早い段階でドラフトし、育成枠も含めて抱え込むようになった構造の変化です。今回のリストには「Developmental Player」と注記された選手も含まれており、オーストラリアのミエラ・ソワ、イタリアのコスタンツァ・ヴェローナ、ナイジェリアのエリザベス・バログン、スペインのエレナ・ブエナビダがそれに当たります。かつては欧州のトップリーグで実績を積んでからアメリカに渡るのが定番でしたが、いまはその順序が逆になりつつあります。
日本代表に目を移すと、リストに載っているのは3人です。町田瑠唯と渡嘉敷来夢が元WNBA選手として、山本麻衣がラスベガス・エーシズ所属の現役として記載されています。現役が1人という数字は、フランスやスペインと比べれば心もとなく見えるかもしれません。ただ、指揮官のコーリー・ゲインズがWNBAでのコーチ歴を持つ人物としてリストに含まれている点は見逃せません。選手の数だけでなく、戦術の言語がどれだけ世界標準と接続しているかも、代表チームの競争力を左右するはずです。
空になったリーグが、9月13日に何を持ち帰るのか
ここからは筆者の見立てになりますが、この70人という数字は、WNBAにとって諸刃の剣でもあります。世界大会の水準を押し上げる貢献である一方、シーズン終盤にリーグが2週間近く止まり、主力が長距離移動と国際試合の強度にさらされるからです。すでに大会前から、ダラス・ウィングスの選手がパスポートの紛失で出場を断念する事態や、負傷による離脱の報が相次いでいます。9月13日の決勝の後、各球団がどんなコンディションの選手を迎え入れるのかは、プレーオフの構図に直結します。
もうひとつ注目したいのは、この大会が2028年に向けた品定めの場になる点です。カーラ・ローソン率いるアメリカはエイジャ・ウィルソンとケルシー・プラムを欠いた編成で、クラーク、ベッカーズ、リースら新しい世代に大きな役割が回ってきます。ここで結果を出した選手がそのまま次の五輪の中心に座る可能性は高く、逆に苦戦すればアメリカの世代交代そのものが問い直されます。70人の分布は、各国の育成が実を結んでいるかどうかを映す成績表でもあるのです。
日本代表はグループAで3試合、初戦はマリ
日本代表はグループAに入り、日本時間9月4日18時30分にマリと初戦を迎えます。続いて9月6日1時に開催国ドイツ、9月8日0時50分にスペインと対戦します。ドイツには現役6人、スペインには7人のWNBA関係者が並ぶ編成で、この2試合は日本にとって世界の現在地を測る物差しになります。各組1位が準々決勝に直行し、2位と3位は準々決勝進出決定戦に回る方式です。大会は9月13日の決勝まで、ベルリン・アリーナとマックス・シュメリング・ハレの2会場で行われます。
※FIBA女子バスケW杯2026
引用:https://www.wnba.com/news/2026-fiba-womens-basketball-world-cup-wnba-rosters

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