ベンチから始まった163センチ、山本麻衣がエーシズで掴んだ日本代表の転機

 

9月4日にドイツ・ベルリンで開幕したFIBA女子バスケットボールワールドカップ2026。日本代表はグループA初戦でマリ代表を102-97で振り切り、白星スタートを切りました。見出しを飾ったのは1試合9本の3ポイントで27得点を挙げた林咲希、そして18得点7アシストと躍動した20歳の田中こころです。ただ、この乱打戦を振り返るとき、スターティングファイブに名前のなかった163センチにも目を向けたくなります。ラスベガス・エーシズからベルリンへ直接合流した司令塔、山本麻衣です。日本時間9月6日午前1時にはグループ最大の山場となる開催国ドイツ戦が控えており、彼女がコートに立つ時間の使い方が、日本のベスト8への道筋を大きく左右しそうです。

102-97の乱打戦で刻んだ、控えからの2ケタ得点

マリ戦の日本はコーリー・ゲインズヘッドコーチが田中こころ、林咲希、東藤なな子、宮澤夕貴、渡嘉敷来夢の5人を先発に指名し、山本は第1クォーター残り5分26秒からコートに入りました。試合の入りは0-7のランを浴びる苦しいもので、第1クォーターを21-25、前半を48-52とビハインドで折り返します。山本は第2クォーターに3ポイントを沈めて追走に加わり、最終的に今野紀花とともに2ケタ得点を記録しました。

試合を決めたのは3ポイントの雨でした。日本はチームで35本を放って20本成功、成功率は57パーセントに達し、これはワールドカップのチーム記録を塗り替える数字です。林の9本も個人記録の更新でした。第3クォーター中盤に0-15のランを許して突き放されながら、第4クォーターに31得点を積み上げて逆転できたのは、高さで劣る日本が唯一持っている武器を徹底的に振り抜いたからにほかなりません。FIBAランキングで日本は10位、マリは18位。格上として臨んだ試合で97失点を喫した事実は、次戦以降への宿題としてはっきり残りました。

7月のデビューから約2か月、世界の高さが日常になった時間

山本のこの夏は、日本の女子バスケットボール史のなかでも異例の密度でした。7月にWNBAデビューを果たし、渡嘉敷来夢や町田瑠唯に続く日本人史上5人目のWNBAプレーヤーとなります。デビュー戦の出場は3分10秒、無得点。それでも8月9日のニューヨーク・リバティ戦では25分を超えるプレータイムを与えられ、3ポイント4本を含む16得点6アシストというキャリアハイを叩き出しました。8月にはエーシズと契約を結び、リーグ屈指の強豪でローテーションの一角に食い込んでいます。

ここで見落とせないのが、代表チームとの時間の少なさです。日本代表は8月下旬にベルギー遠征を行い、30日には強化試合を戦っていますが、山本はWNBAのシーズン中でありベルリンでの現地合流という形をとりました。つまり、田中こころや東藤なな子が合宿で積み上げてきた連携を、彼女は本番の中で取り戻していく必要があるということです。それでも初戦で早い時間から起用され、2ケタ得点まで持っていった事実は、ゲインズヘッドコーチの信頼の厚さを示しています。世界最高峰の高さとフィジカルに毎日さらされた3か月は、間違いなく彼女の判断速度を変えたはずです。

ドイツ戦のカギは、山本と町田瑠唯をどう並べるか

ここからは独自の見立てになります。日本の平均身長は177.6センチ。開催国ドイツはFIBAランキング11位で、開幕日にスペインへ敗れており、ホームの大観衆を背に日本戦へ全力でぶつかってくるはずです。高さで殴り合う展開になれば日本に勝ち目はありません。マリ戦がそうだったように、ペースを上げて3ポイントを浴びせる形が生命線になります。

そのとき鍵を握るのが、ポイントガードの並べ方だと考えています。日本には162センチの町田瑠唯、163センチの山本麻衣、173センチの田中こころという3人の司令塔がいます。ディフェンスでのミスマッチを恐れれば同時起用は避けたくなりますが、逆に小さいガードを2枚並べてボール運びの速度を上げ、相手のビッグマンを走らせ続ける形はドイツにとって嫌なはずです。WNBAで大型ガードと日常的に競り合ってきた山本の経験は、この賭けを成立させる裏付けになります。

グループAは1位が準々決勝へ直行し、2位と3位は準々決勝進出決定戦に回ります。日本にとってドイツ戦の結果は、9月7日のスペイン戦の意味合いまで変えるものです。日本は1975年大会の準優勝が最高成績で、1979年大会の6位を最後にベスト8から遠ざかっています。ゲインズヘッドコーチが壮行会見で掲げた「目標はベスト8」という言葉は、47年ぶりの壁に挑む宣言でもあります。

ドイツ戦の観戦情報

日本対ドイツは日本時間9月6日午前1時にティップオフを迎えます。DAZNが本大会の全試合を配信し、日本戦は元日本代表の三好南穂と宮崎早織が解説を務めます。グループA最終戦のスペイン戦は9月7日です。マリ戦で20本の3ポイントを沈めたチームが、開催国の圧を受けてどこまで同じテンポを刻めるのか。そして控えから流れを変えられる163センチが、どの時間帯に投入されるのか。そこにこの一戦の見どころが詰まっています。

※FIBA女子バスケW杯2026

引用:https://basketballking.jp/news/world/20260810/627274.html

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