WNBAの名将が、NBAの新王者をめぐる論争に再び火をつけました。エーシズを率いるベッキー・ハモンHCが、2026年のNBAファイナルMVPに輝いたニックスのジェイレン・ブランソンについて、かつての辛口評価を「謝罪するつもりはない」と言い切ったのです。優勝という最高の結果を前にしてなお持論を曲げない姿勢は、いかにも勝負師らしい一貫性を感じさせます。一方で、その潔さがファンの賛否を二分しているのも事実です。
「謝罪はしない」――リバティ戦前に放った強気のコメント
発端は、現地6月23日にラスベガスで行われたシュートアラウンド後の取材でした。リバティとのホームゲームを控えたハモンに、記者たちが2023年のブランソン評について改めて質問したのです。ハモンはまず、優勝という事実を素直に認めました。「彼は歴史を覆した。例外的な存在(アウトライアー)だ」と語り、6フィート1インチ(約185cm)のブランソンを、ステフィン・カリーやアイザイア・トーマスと並べてよいと称賛しています(ESPN)。
それでも、謝罪という言葉には首を縦に振りませんでした。「持論を持つこと自体を謝るつもりはない。それがESPNが私に給料を払っている理由だ」と述べ、さらに「ニックスファンをもう一度怒らせておこう。彼は史上最高のニックスだと思う」と挑発的なジョークまで添えています。3年前の発言がいまだに語り継がれていることについては「滑稽(こっけい)だ」とまで表現し、まったく動じる様子はありませんでした。
2023年の「1A発言」とブランソンの戴冠という現実
そもそもの火種は、2023年12月にESPNの番組で飛び出した発言でした。当時のハモンは「ベストプレーヤーが小柄ならチームは勝てない」と語り、ブランソンはチームを優勝に導く「1Aの男」ではないと指摘していました。身長が低い選手はリーグの頂点に立てない、という歴史的な傾向を踏まえたコメントだったというのが本人の説明です。
ところがブランソンは、その見立てを真っ向から打ち砕きました。2026年のファイナルでスパーズを4勝1敗で退け、優勝を決めた第5戦では45得点の大爆発。ニックスを実に53年ぶりの王座へと導き、自身はファイナルMVPに選ばれました。ハモンは今年5月の時点でも「私は歴史的な文脈で話した。2年前の発言にこだわる理由が分からない」と持論を維持しており、今回の発言はその延長線上にあります。発言が二転三転していない点は押さえておきたいところです。
なぜ謝らないのか――一貫性が映すコーチング哲学
筆者が注目したいのは、ハモンが「称賛」と「持論維持」を器用に両立させている点です。ブランソンの偉業を惜しみなく讃えながら、自らの分析的な視点は撤回しない。これは、データと歴史的傾向を土台に意思決定するコーチとしての矜持の表れだと考えられます。彼女自身、ブランソンと面識はなく、優勝後に連絡も取っていないと明かしており、あくまで客観的な評価に徹している姿勢がうかがえます。
そして見逃せないのは、WNBAの指揮官の一言が全米のバスケットボールファンの議論を巻き起こしているという構図そのものです。これはWNBAの存在感が大きく増している何よりの証拠でしょう。過去4シーズンで3度の優勝を誇るエーシズの強さの源泉が、この物おじしない発信力にあるとすれば、ファンが「謝罪すべきだったのか」を語り合う余地は十分にあります。あなたはハモンの姿勢を潔いと見るでしょうか、それとも頑固と見るでしょうか。
注目の一戦――6月30日にはコミッショナーズカップ決勝
この論争が、よりによってニューヨークのチームであるリバティとの試合前に蒸し返されたのも象徴的です。そしてエーシズは6月30日、ニューヨークのバークレイズ・センターでリバティとコミッショナーズカップの決勝で対戦します。ニックスの本拠地でもあるこの街で、ハモン率いるエーシズがどんな戦いを見せるのか。コート内外の話題が交差する一戦から、ますます目が離せません。
引用:https://www.espn.com/nba/story/_/id/49157579/hammon-not-apologizing-opinion-says-brunson-nba-outlier

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