WNBAのトレード期限が日本時間8月3日の未明に迫るなか、今季最大級の「もしも」は、どうやら動かないまま終わりそうです。ミネソタ・リンクスのナフィーサ・コリエについて、ESPNのアレクサ・フィリップーが7月31日のSportsCenterで、リーグ内の共通認識として今季いっぱいはミネソタに残る見通しだと伝えました。契約が今季で満了するオールWNBA級のスターが、リーグ最高勝率のチームに残ったまま期限を通過する。字面は地味ですが、今回の期限で最も影響が大きい判断は、案外この「動かない」ほうかもしれません。
復帰3試合で平均18.3得点、しかも出場はすべて25分以下
コリエが2026年シーズンの初戦を戦ったのは7月22日のストーム戦でした。24得点10リバウンドをマークし、チームは86-76で勝利しています。その後、7月29日のテンポ戦では15得点6リバウンド3アシスト、7月31日の同カードでは16得点5リバウンド2ブロックと、内容はいずれも安定していました。
3試合の平均は18.3得点7.0リバウンド。注目したいのは出場時間で、22分・25分・22分と、一度も25分を超えていません。平均23.0分という数字を36分換算すると、およそ28.7得点11.0リバウンドに相当します。フィールドゴールも3試合合計で22本成功45本試投、成功率48.9%。7月31日の試合では3ポイントを2本中2本沈めています。開幕から10週間を欠場した選手の数字とは思えない立ち上がりです。
両足首の手術から28試合ぶり、それでもチームは24勝6敗だった
コリエは元日に右足首、3月に左足首の手術を受けており、今季は開幕から10週間を戦列外で過ごしました。昨季のプレーオフから数えると、実に28試合ぶりの復帰でした。
にもかかわらず、シェリル・リーブ率いるリンクスは崩れませんでした。8月に入る時点で24勝6敗はリーグ最高勝率、1試合平均92.2得点はフィーバーに次ぐリーグ2位の得点力で、現在は9連勝中です。ルーキーのオリビア・マイルズをはじめとする層の厚さが、エース不在の穴を埋め切ったかたちになります。
ここが今回の判断を読み解く鍵だと考えています。エースが不在でも勝てるチームは、普通なら「動きやすい」チームです。ところがリンクスの場合、エースが戻ってきたことでむしろ優勝候補の本命になってしまった。動く理由が消えたのは、成績が悪かったからではなく、良すぎたからです。
「残す」判断が本当に問われるのは、期限ではなくオフシーズン
もっとも、この決定にリスクが無いわけではありません。満了契約の選手を期限で動かさないということは、対価をひとつも得られないまま、オフに交渉のテーブルへ進む可能性を受け入れるという意味でもあります。フィリップーも「他球団に目を向けたいのではないか」という噂が出回っていたことに触れており、コリエの去就が今オフの大きな話題になることは変わりません。
それでもフロントが優勝を選ぶのは、私には筋の通った判断に見えます。リーグ最高勝率と9連勝、そして戻ってきたエースが3試合で示した完成度を前にすれば、将来のドラフト指名権より目の前のタイトルに賭けるほうが自然です。逆に言えば、この夏の「動かない」を正解にできるかどうかは、10月のプレーオフの結果でしか証明できません。リンクスは自らハードルを上げたことになります。
フィリップーは「リーグ全体では、彼女は今季いっぱいミネソタにいるだろうと見られています」と語っています。裏を返せば、確定ではないということです。期限の残り数時間で状況がひっくり返る可能性は、ゼロではありません。
期限直前に組まれた大一番、日本のファンは早朝の攻防に注目
トレード期限は現地時間8月2日の午後3時、日本時間では8月3日の午前4時に締まります。そして、その2時間前にあたる日本時間8月3日午前2時、リンクスは本拠地でフィーバーを迎えます。24勝6敗の首位チームと、19勝10敗で東地区を走るフィーバーの対戦が、期限の締め切りをまたぐかたちで進行するわけです。
コリエがこの試合でどんな出場時間を与えられるのか。そこにも、球団の本音がにじむかもしれません。日本のファンにとっては早起きが必要な時間帯ですが、今季の優勝争いを占ううえで見逃せない一戦になりそうです。

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