ヨキッチ ナゲッツ

「誰だ? ギリシャ? どこだ? さよなら」──ヨキッチ買い取りオファーを数秒で葬ったナゲッツと、2027年夏を本気で狙うパナシナイコス

 

NBAのオフシーズンには毎年どこかで突拍子もない話が飛び出しますが、今回の一件はスケールが違いました。ギリシャの名門パナシナイコスのオーナー、ディミトリス・ヤナコプロスが、ニコラ・ヨキッチの契約をナゲッツから買い取るオファーを実際に出していたと自ら明かしたのです。リーグ最高峰のセンターをヨーロッパのクラブが引き抜こうとした、という話だけを聞けば冗談にしか思えません。ただ、発言の中身と契約の数字を並べていくと、単なる話題作りでは片付けられない計算が透けて見えてきます。

「数秒で終わった」オーナー自身が明かした提案の顛末

ヤナコプロスはEuro Insidersのポッドキャストに出演し、今年ナゲッツとヨキッチ本人の双方に正式な提案を行ったと語りました。「今年、彼のチームと本人の両方に非常に真剣な提案をした」というのが本人の言葉です。結果は拒否でした。

興味深いのは、断られ方まで本人が具体的に語っている点です。ナゲッツ側の反応について、ヤナコプロスは数秒で「誰だ? ギリシャ? どこだ? 何だ? さよなら」と返されたと振り返っています。しかも彼は「冗談だと言われるだろう」と前置きしたうえで、本気度を確かめたければヨキッチの代理人ミシュコ・ラズナトビッチに連絡してみろ、とポッドキャストの司会者に促したといいます。ここまで具体的に語る以上、少なくとも本人の中では実在した交渉だったということになります。

ヤナコプロスが欧州から北米の主役級を狙うのは初めてではありません。昨夏はやはりナゲッツからヨナス・バランチュナスの引き抜きを試み、当時は関係者を混乱させました。バランチュナスは結局そのシーズンをデンバーで終え、今オフにリトアニアのユーロリーグ勢ザルギリス・カウナスへ移籍しています。一度は空振りに終わった手口を、今度は桁違いの相手に向けてきたわけです。

残り2年1億2180万ドル、そして2027年夏に開く扉

なぜ「来年また行く」と言い切れるのか。答えは契約構造にあります。ヨキッチの現行契約は残り2年、総額1億2180万ドル。ただし2年目の2027-28シーズン分6280万ドルはプレーヤーオプションで、本人が破棄すれば来夏に無制限フリーエージェントになれます。つまり契約を買い取らなくても、待てば市場に出る可能性がある。ヤナコプロスの「来年まで待とう」という言葉は、この一点を踏まえた発言です。

さらに事情を複雑にしているのが延長交渉の状況です。ヨキッチは6月14日から4年2億7800万ドルの最大延長にサインできる立場にありましたが、いまだ署名していません。デンバーで長くプレーしたい意思は示しつつ、金銭面を理由に判断を先送りしている形です。ESPNのボビー・マークスによれば、2027年7月まで待てば5年3億5950万ドルの延長が可能になり、それはNBA史上最高額の契約になります。年平均で約7000万ドル。欧州クラブがどう頑張っても届く水準ではありません。

ナゲッツ側も静観しているわけではなく、今オフはマービン・バグリー3世を獲得し、サンダーが提示したスペンサー・ジョーンズへの2年1200万ドルのオファーシートをマッチして戦力を維持しました。ペイトン・ワトソンとの制限付きフリーエージェント交渉も続いています。高額な布陣をあえて崩さないのは、ヨキッチが残る前提のロースター運営に見えます。

それでも「本気」を疑いきれない理由

ここからは私見です。金額だけを見ればパナシナイコスに勝ち目はありません。それでもこの動きを一笑に付せないのは、狙いが金銭ではなく「時期」にあるからです。ヨキッチは31歳。2027年夏の判断は、ほぼ選手キャリアの終着点までを決める契約になります。長期の巨額契約に縛られる前の、意思が最も自由になる一瞬を狙い撃ちする発想そのものは合理的です。

もう一つ見逃せないのが、欧州側の資金力と発信力が明らかに上がっている点です。バランチュナスがユーロリーグへ戻り、NBA経験者の欧州回帰が珍しくなくなっている流れの中で、「ダメ元で最高の選手に声をかけ、それを公言する」こと自体がクラブのブランディングとして機能しています。断られた事実まで含めて話題になっている時点で、ヤナコプロスの目的の半分は達成されているとも言えます。

もっとも、ヨキッチ本人がデンバー残留の意思を繰り返し口にしている以上、現実的な着地点は史上最高額の延長契約でしょう。この話の本当の価値は、移籍の可能性そのものより、NBA最高の選手の契約カレンダーが2027年夏に一点集中していることを世界に思い出させた点にあります。

この夏から2027年までの注目ポイント

今オフのナゲッツはロースターの骨格を維持したまま、ワトソンの去就という宿題を残しています。ヨキッチの延長がいつ動くのか、そしてプレーヤーオプションをどう扱うのか。2026-27シーズンは、成績以上に契約をめぐる報道が絶えない一年になりそうです。パナシナイコスの動向を含め、欧州側の発信にも引き続き注目しておきたいところです。

引用:https://www.espn.com/nba/story/_/id/49576700/panathinaikos-made-jokic-serious-offer-try-again-27

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