ワールドカップ開幕を4日後に控えたタイミングで、アメリカ代表の名簿が動きました。USAバスケットボールは8月31日、エイジャ・ウィルソンとケルシー・プラムが健康上の理由で2026年FIBA女子バスケットボールワールドカップに参加しないと発表しています。4年前の大会MVPと、リーグ屈指のスコアリングガードが同時に抜けるという、事前の想定にはなかった事態です。第一報を見たときの正直な感想は「痛い」でしたが、発表された補充の中身を追っていくと、印象はむしろ逆方向に振れました。今のアメリカは、その二人を欠いてなお計算が立つ陣容になっています。
プラムはシーズン絶望、代役はミスティックスの二人
より深刻なのはプラムのほうです。マーキュリーは下腿の負傷により、プラムが2026シーズンの残り試合を欠場すると明らかにしました。トレード期限でスパークスからフェニックスへ移った彼女は、8月3日のスカイ戦で20得点を挙げてデビューしたものの、新天地でのプレー時間は5試合105分にとどまりました。移籍後の平均は15.8得点2.8アシスト1.8リバウンドで、数字そのものは決して悪くありません。それだけに、105分で終わってしまった移籍1年目には後味の悪さが残ります。マーキュリーは14勝26敗ですでにプレーオフ進出の可能性が消えており、残り4試合を消化試合として戦うことになります。
この二枠を埋めるのが、ワシントン・ミスティックスのソニア・シトロンとキキ・イリアフェンです。いずれも代表の主軸として長く回ってきた顔ぶれではなく、直前の追加招集という形での参加になります。エイジャの穴を一人で埋められる選手は世界を見渡してもいませんが、アメリカが選んだのは同じタイプの代役ではなく、若い戦力を前倒しで国際舞台に立たせる道でした。
4連覇中の王者が、初めてMVP抜きで挑む夏
エイジャの不在がどれほど異例かは、直近の実績を並べれば分かります。2022年のシドニー大会で彼女は1試合平均17.2得点7.5リバウンドを記録し、大会MVPに輝きました。アメリカはこのワールドカップで過去12大会のうち9度優勝しており、現在は4連覇中です。その連覇を支えてきた中心人物が、大会直前に外れるわけです。
それでも編成が崩れないのは、ここ数年で代表の人材供給が明らかに変わったからだと考えています。今回の名簿には、今季平均22.5得点3.9リバウンド8.4アシストのケイトリン・クラーク、20.6得点4.1リバウンド5.9アシストのペイジ・ベッカーズ、16.9得点8.2リバウンド3.0アシストのアリーヤ・ボストンが並びます。数年前であれば将来の代表候補と紹介されていた層が、すでに一線級の生産量を出しているわけです。マネージングディレクターのスー・バードは今回の編成について「このロースターの構成はとてもシンプルです」と語り、経験と若さを混ぜることを意識したと明かしています。エイジャの離脱は、その設計思想が想定より早く試される機会になりました。
金メダルよりも、この10日間が示す次の4年
指揮を執るのはデューク大学ヘッドコーチのカーラ・ローソンです。ここからの読み解きは筆者の見立てになりますが、今大会のアメリカにとっての本当の論点は優勝できるかどうかではなく、エイジャやブリアナ・ステュワートの世代からの移行をどこまで前倒しできるか、だと思います。インサイドの絶対的な軸を欠いた状態で戦うことは短期的にはリスクですが、次のオリンピックを見据えたときには避けて通れない検証でもあります。クラークとベッカーズという、WNBAでは別々のチームで主役を張る二人が同じユニフォームで並ぶ光景も、この大会が本格的な初披露の場になります。
一方で、警戒すべき相手もはっきりしています。フランスにはWNBAでプレーする選手が多数含まれており、高さと機動力を兼ね備えたチームです。エイジャがいないアメリカにとって、ペイント内の主導権をどう握るかは大会を通じた課題であり続けるでしょう。
大会は9月4日開幕、決勝は13日
2026年FIBA女子バスケットボールワールドカップは、9月4日にドイツ・ベルリンで開幕します。出場は16チームで、4チームずつ4組に分かれてグループステージを戦い、全36試合が組まれています。アメリカの初戦は9月4日の中国戦(アメリカ東部時間午前8時15分)で、グループではイタリア、チェコとも対戦します。グループステージは9月7日まで、準々決勝進出をかけたラウンドが9月8日と9日、準々決勝が10日、準決勝が12日、3位決定戦と決勝が13日という日程です。
WNBAは8月31日から9月17日までリーグ戦を中断してこの大会に対応します。つまり、これから約2週間半は女子バスケットボールの中心がベルリンに移ります。エイジャとプラムの欠場は残念ですが、そのぶん新しい顔に目が向く大会になりそうです。
引用:https://www.espn.com/wnba/story/_/id/49782113/aja-wilson-kelsey-plum-miss-fiba-women-world-cup

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