1シーズンを完全に休んだ選手が、10年目のキャリアを再び始めます。ベン・シモンズがサクラメント・キングスと1年350万ドルの契約で合意したと、ESPNのシャムス・チャラニアが9月4日に報じました。数字だけを見れば、リーグの最低保証に近い水準の小さなニュースです。ただ、2016年のドラフト全体1位、3度のオールスター、1度のオールNBAという肩書きを持つ30歳の名前が並ぶと、途端に別の意味を帯びてきます。捨て値のような契約に、まだ何かが残っていると賭けた球団があった、ということだからです。
350万ドルという金額が語る現在地
契約は1年350万ドル。近年のNBAで最大契約が2億ドルを超えることを考えると、その差は50倍以上になります。ベテラン最低保証に近いこの数字は、そのまま「実績ではなく現在の身体で評価された」ことを意味します。
シモンズが最後にNBAのコートに立ったのは2024-25シーズンでした。ブルックリン・ネッツとロサンゼルス・クリッパーズで51試合に出場し、平均22.0分で5.0得点5.6アシスト4.7リバウンド。オールスターだった頃の水準からは大きく離れた数字です。そして2025-26シーズンは1試合も出場せず、完全に空白のまま過ぎました。
チャラニアの報道によれば、シモンズは月曜にサクラメントを訪れ、詳細なメディカルチェックとコート上のワークアウトを受け、ヘッドコーチのダグ・クリスティをはじめとする首脳陣と面談しました。つまりキングスは、書類上の実績ではなく、目の前で動く身体を確認したうえで契約に踏み切ったことになります。これはリスク管理として理にかなっています。350万ドルなら、機能しなくても致命傷にはなりません。
全体1位から10年、何が積み上がり何が失われたのか
シモンズのキャリアは、NBAでも珍しい形をしています。フィラデルフィア・セブンティシクサーズ時代には新人王を獲得し、ディフェンシブチームにも選ばれました。身長208センチでポイントガードを務め、コート上のあらゆる場所からパスを供給できる選手は、当時のリーグでも唯一無二でした。
一方で、シュートを打たないという弱点は最後まで克服されませんでした。そして2021年以降は背中と脚の故障が重なり、出場試合数そのものが安定しなくなります。全体1位指名から10年が経った現在、彼に残っているのはパスビジョンとサイズ、そして守備での複数ポジション対応力です。逆に失われたのは、爆発的な第一歩と、シーズンを通してコートに立ち続ける耐久性でした。
興味深いのは、この夏に興味を示したのがキングスだけではなかった点です。ゴールデンステート・ウォリアーズもシモンズに関心を持っていたと複数の媒体が伝えています。ボールを持たずに動く選手が多いチームほど、彼のようなパサーの価値を認識しやすいということかもしれません。
サクラメントで彼に用意されている役割
キングスにとって、シモンズは若い司令塔の後ろに置く安全弁として機能する可能性があります。報道では、控えのポイントガードとしての起用が想定されていると伝えられています。1試合25分前後、セカンドユニットの司令塔としてゲームを組み立てる役割であれば、彼の弱点であるシュートは相対的に目立ちません。
筆者が注目したいのは、守備での使い方です。全盛期のシモンズは、ガードからパワーフォワードまでを守れる希少な存在でした。仮に体調が戻っているのであれば、相手のエースにぶつける守備要員として20分だけ使う、という割り切った起用も成立します。350万ドルという金額は、そういう限定的な使い方を前提にしても十分に回収できる水準です。
逆に言えば、キングスがこの契約に大きな期待をかけているわけではない、とも読めます。この1年でシモンズが証明すべきなのは平均得点ではなく、単純に「何試合コートに立てるか」でしょう。それさえ示せれば、来夏の市場での評価は今回とはまったく違うものになるはずです。
2026-27シーズンへ
NBAは2026-27シーズンの開幕を控え、各球団がトレーニングキャンプの準備に入る時期に差しかかっています。NBA TVは今季60試合の中継を予定しており、そのスケジュールは10月24日から始まると発表されています。シモンズがどのタイミングで実戦に姿を見せるのか、プレシーズンから注目しておく価値はありそうです。
契約の詳細や今後の動きについては、NBA公式サイトのこちらの記事でも確認できます。復帰初戦がどのアリーナになるのか、それだけでも十分に楽しみな秋になりそうです。
引用:https://www.nba.com/news/ben-simmons-1-year-deal-sacramento-kings

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