JA・モラント グリズリーズ WNBAファンブログ

全体14位から3年で平均5.1点、ホーキンスがメンフィスへ動いた580万ドルの舞台裏

 

NBAのオフシーズンも終盤に差し掛かった9月8日、ニューオーリンズ・ペリカンズとメンフィス・グリズリーズが4人の絡むトレードで合意し、同日中に両球団のリリースで正式成立となりました。動いたのは若手2人と2巡目の権利2つ。スター選手の移籍ではありませんが、中身を追っていくと、ペリカンズが今夏の補強を成立させるために逆算した「580万ドルの余白づくり」であることがはっきりしてきます。地味な取引ほどフロントの意図が透けて見えるもので、筆者としてはこの1件をかなり興味深く読みました。

全体14位から3年、ホーキンスが積み上げられなかった数字

ESPNのシャムズ・チャラニアが報じた内容によると、ペリカンズはジョーダン・ホーキンスとマイカ・ピービー、さらに将来の2巡目指名権1つと2巡目のスワップ権をメンフィスへ送り、見返りにAJ・ジョンソンとタージ・ギブソンを受け取ります。

ホーキンスは2023年ドラフト全体14位の指名でした。ルーキーイヤーは平均7.8得点、3ポイント成功率36.6%と将来を期待させる立ち上がりでしたが、そこから数字が積み上がりませんでした。昨季は51試合で平均5.1得点、3ポイント成功率は34.8%、出場時間はキャリア最少の13.6分にとどまっています。まだ24歳ですから見限るには早い年齢ですが、層の厚いバックコートで居場所を作れなかったのは事実です。

一緒に動くピービーは2025年ドラフト全体40位。ルーキーシーズンは61試合で平均4.3得点1.9リバウンド、出場時間15.0分でした。フィールドゴール成功率38.5%、3ポイント25.9%と攻撃面では苦しみましたが、守備面での評価は決して低くありません。メンフィスがこの2人をどう扱うのかは、まだ見えていません。

14万8828ドルが動かす580万ドル、マチュリン契約への逆算

ここからがこのトレードの本質です。ペリカンズは今夏、ベネディクト・マチュリンと2年1600万ドルで合意していました。初年度の年俸は780万ドル前後になる見込みで、トレード前のペリカンズは第1エプロンまで約740万ドル、ラグジュアリータックスラインまで約580万ドルしか余裕がありませんでした。つまり、そのままマチュリンと契約すればタックスへ突入してしまう状況だったわけです。

ホーキンスの年俸は702万1895ドル。対してジョンソンは323万7120ドル、ギブソンは381万5861ドルで、しかもギブソンの契約は保障なしです。ESPNのボビー・マークスによれば、サラリーマッチングを成立させるためにギブソンにはごく小さな部分保障が付く見込みで、必要となる額は14万8828ドルとされています。14万ドル台の保障を後付けすることで580万ドル規模の余白が生まれるという構図は、現行の労使協定がいかに窮屈かをよく表しています。

ギブソンとジョンソンをウェイブすれば、ペリカンズは約580万ドルを浮かせられる計算です。これでタックスも第1エプロンも越えずにマチュリンを迎えられます。ただし代償として、第1エプロンが今季のハードキャップとして固定されます。あわせて、ホーキンスの年俸に相当する約700万ドルのトレード例外も生まれます。

通常契約19人と41歳、両球団が抱えていた別々の事情

グリズリーズ側の事情は分かりやすいものです。通常契約が19人という完全なロスター過多の状態にあり、ジョンソンもギブソンも開幕ロスターに残る見込みは薄いところにいました。ホーキンスとピービーを開幕まで抱えるのか、それとも2巡目の資産だけが目的なのかは、現時点では不透明です。

一方で41歳のギブソンはNBA17年目、これまでに8球団を渡り歩いてきたベテランです。The Athleticのウィル・ギロリーによれば、ギブソンは解雇される見込みである一方、ジョンソンについてはトレーニングキャンプまで残してフィット感を見極める方針とのことです。ジョンソンは2024年ドラフト全体23位ながら最初の2年で3球団を渡り歩き、昨季はワシントンとダラスで48試合に出て平均3.3得点1.1リバウンドでした。21歳という若さが唯一残された武器で、ニューオーリンズが最後の見極めの場を与えた格好になります。

「勝負」ではなく「整理」、その先に残された余地

筆者の見立てでは、これはペリカンズにとっての勝負手ではなく整理です。24歳のウイングであるマチュリンを2年契約で確保するために、伸び悩んだ若手2人と2巡目の権利を差し出しました。金額として派手さはありませんが、ハードキャップを自ら引き受けてまで前へ進んだ判断は評価できます。逆に言えば、シーズン中の追加補強の余地はここでかなり狭まりました。

見どころは2つあります。ひとつはマチュリンがニューオーリンズの得点力をどこまで押し上げるのか。もうひとつは、環境を変えたホーキンスが4シーズン目に花開くのかどうかです。トレーニングキャンプはもう目前に迫っています。答えが数字で出てくるまで、そう長くは待たされないはずです。

引用:https://www.hoopsrumors.com/2026/09/pelicans-grizzlies-agree-to-four-player-trade.html

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