フィラデルフィア・シクサーズにレブロンが加わったことで、2026-27シーズンの東カンファレンスは一気にきな臭くなりました。ところがESPNが現地9月14日に公開したシーズンプレビューを読むと、このチームが抱える最大の問題は補強の質ではなく、きわめて単純な算数であることが見えてきます。筆者の第一印象は「戦力の足し算は成立したが、ボールの引き算がまだ終わっていない」でした。
134パーセントと143.1パーセント、二つの数字が示す過密
ESPNが使っているのはユーセージレート、いわゆる使用率という指標です。選手がコート上にいる間に、チームの攻撃をどれだけ自分の手で終わらせたかを示す割合で、同時に出ている5人の合計はおよそ100パーセントに収まります。
シクサーズには、キャリア通算の使用率が25パーセントを超える「スーパーユーザー」が4人います。レブロン、ジョエル・エンビード、タイリース・マクシー、ジェイレン・ブラウンです。ここに2年目のVJエッジコムを加えた主力5人のキャリア使用率を単純に足すと134パーセントとなり、これはレブロンが在籍した2010-11シーズンと2012-13シーズンのマイアミ・ヒートと並ぶ水準になります。
さらに厳しいのが昨季の実数で、この5人の使用率合計は143.1パーセントでした。5人が同時にコートに立つ限り、合計は100パーセントにしかなりません。つまり誰か、あるいは全員で、合わせて43ポイント分の攻撃機会を手放す必要があります。これは「譲り合いましょう」の一言で片づく量ではありません。
レブロンのチームは、いつもこの問題を抱えてきた
高使用率の選手を集めるのは、レブロンにとって20年来の定型でもあります。ESPNが挙げた該当30チームのうち、13チームにレブロンが在籍していました。そしてスーパーユーザー編成で優勝まで届いた4チームのうち、3チームがレブロンのチームです。
この比率は二通りに読めます。楽観的に見れば、レブロンは高使用率の同僚と共存する方法を最もよく知る選手だということになります。悲観的に見れば、13回のうち3回しか頂点に届いていない、つまり10回は届かなかったということでもあります。2010-11のヒートはファイナルでダラス・マーベリックスに敗れ、2012-13のヒートはサンアントニオ・スパーズを退けて優勝しました。同じ134パーセントでも結末が割れているところに、この編成の怖さがあります。
市場の評価も微妙に噛み合っていません。レブロン加入で2027年の優勝オッズは+2000から+900へ跳ね上がった一方、予想勝利数は48.5から50.5へ、わずか2勝しか動きませんでした。レギュラーシーズンでは2勝分の上積み、プレーオフでは倍以上の期待値。この乖離は、シクサーズの価値が短期決戦で爆発する可能性に集中していることを示しています。
42歳のレブロンに求められるのは、得点ではない
ここからは筆者の考察です。43ポイントを削る作業の主役は、おそらくレブロン自身になります。ミニマム契約のおよそ390万ドルでサインし、ポストシーズン前に42歳を迎える立場で、一番手の得点役を担う必然性はどこにもありません。
むしろこれまでのシクサーズに足りなかったのは、エンビードとマクシー以外にゲームを作れる本物のパサーでした。レブロンがテンポを握り、エンビードのポストとマクシーの加速を交互に呼び出す形になれば、本人の使用率は自然に下がり、周囲の効率は上がります。難しいのは第4クォーターです。勝負どころで誰にボールを預けるかという問いに、4人全員が「自分だ」と答えられるだけの実績を持っているからです。
逆に言えば、この整理が開幕から2か月で片づけば、シクサーズは東の本命になり得ます。片づかなければ、82試合を通じて「今日は誰の日か」を探し続けるチームになるでしょう。エンビードの出場試合数という長年の不確定要素が残っている点も忘れてはいけません。
最初の答え合わせは、プレシーズンの並びから
2026-27シーズンの開幕は10月下旬です。注目すべきはプレシーズンで、レブロン、エンビード、マクシー、ブラウン、エッジコムの5人が同時に起用される時間がどれだけあるか、そしてその時間帯で誰がボールを持っているかが最初の答え合わせになります。シクサーズは今季、全国中継の最大数を割り当てられたと報じられており、日本からでも試合を追いやすい環境です。開幕前の数字より、最初の10試合の配球を見たいところです。

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