サトゥ・サバリー

サバリー姉妹の不在と20万枚のチケット、日本が9月6日に対峙する開催国ドイツの裏側

 

FIBA女子バスケットボールワールドカップ2026が、9月4日にドイツ・ベルリンで開幕します。日本代表と同じグループAに入った開催国ドイツが、大会直前になって決して穏やかではない状態にあることが、AP通信の現地取材で明らかになりました。主力の離脱に強化試合3連敗という材料が並ぶ一方で、チケットは20万枚を超えて売れています。期待は高く、下馬評は低い。この二つが同居しているのが、いまのドイツです。日本にとっては大会2戦目の相手ですから、この不安定さは決して他人事ではありません。

3連敗と離脱者、開幕前のドイツに積み上がった数字

ドイツの大会前の強化試合は、スペイン、ハンガリー、トルコに3連敗という結果で終わりました。直近のトルコ戦はケルンで62対63、その前のスペイン戦は60対65です。いずれも1点差と5点差ですから、内容が崩壊しているわけではありません。ただ勝ち切れなかった事実だけが残りました。

痛いのは離脱者の顔ぶれです。エースであるサトウ・サバリーは、6月のラスベガス戦で負った脳震盪の影響が続いており、今大会を欠場します。今シーズン2度目の脳震盪でした。ニューヨーク・リバティで主力を張る存在が抜ける穴は、単純な得点力以上のものがあります。妹のニアラ・サバリーはトロント・テンポでプレーしていますが、ふくらはぎの故障からまだ復帰できていません。同じくリバティのレオニー・フィービッヒも、足の負傷から戻ってきたばかりです。

強化試合には、サバリー、フィービッヒ、そしてポートランド・ファイアのフリーダ・ビューナーというWNBA組が不在でした。オラフ・ランゲ監督はトルコ戦後、「WNBAの3人が加われば、まったく別のチームになります」と語っています。裏を返せば、ここまで見せてきた姿は完成形ではないということです。ルイザ・ガイゼルゼーダーはトルコ戦の敗戦について、勝ちたかったが親善試合だという趣旨の受け止めを口にしました。ランゲ監督はニアラ・サバリーについて、ふくらはぎのMRI検査の結果から出場は可能だという見通しを示しています。主将のマリー・ギューリッヒも、重い膝の故障からスペイン戦で復帰を果たしました。ゲームメイクの中心は、コンボガードのアレクシス・ピーターソンが担う見込みです。

1998年以来2度目の出場という現実

見落とされがちな事実があります。ドイツにとって、この大会はワールドカップ2度目の出場にすぎません。1度目は1998年、同じく自国開催のときでした。そのときは2次グループステージまで進んでいます。つまりドイツは、世界大会の常連ではないのです。ヨーロッパの中では強豪という印象を持たれがちですが、W杯という舞台では日本と同じか、それ以下の経験値しかありません。

それでも今回はメダルを狙うと公言しています。背景にあるのは、代表の顔ぶれがWNBA所属選手で厚くなったことです。サバリー姉妹、フィービッヒ、ビューナー、ガイゼルゼーダーと、リーグでプレーする選手が代表の骨格を占めるようになりました。1998年当時とは、選手が日常的に触れているレベルが違います。だからこそ、その中心にいるサトウ・サバリーの不在が、目標との距離を一気に広げてしまったわけです。

初戦の相手であるスペインとの相性も厳しいものがあります。ドイツは公式戦7度の対戦で一度も勝てていません。昨年ハンブルクで行われたユーロバスケットのグループステージでは60対79で敗れています。この初戦を14000人収容のベルリン・アリーナで戦い、続く日本戦は9000人収容のマックス・シュメリング・ハレで行われます。後者は1932年のヘビー級王者の名を冠した多目的アリーナです。

日本にとって、この揺らぎは追い風になるのか

ここからは筆者の見立てです。グループAは、最下位のチームだけが敗退する形式です。組1位は準々決勝に直行し、それ以外はプレーオフを経て8強を目指します。つまり日本にとっての現実的な目標は、まずマリを確実に倒し、そのうえでドイツかスペインのどちらかから星を奪うことになります。

その意味で、ドイツ戦は日本の大会を決める一戦になる可能性が高いと考えます。ドイツは日本の前にスペインと当たります。相性が7戦全敗という相手ですから、初戦を落として日本戦を迎える可能性は小さくありません。開催国が地元の大声援の中で初戦に敗れたとき、次の試合に何が起きるか。焦りが出れば、日本の速い展開と外角のシュートは十分に効きます。逆に、WNBA組が合流して噛み合った状態のドイツであれば、高さと個の力で押し込まれます。日本が対峙するのは、上振れと下振れの幅が異常に大きいチームです。

もう一つ、数字として無視できないのが観客です。大会全体で20万枚を超えるチケットがすでに売れており、これは過去のどの大会よりも多い数字です。9月13日の決勝はすでに完売しています。ドイツバスケットボール連盟のインゴ・ヴァイス会長は、20万枚という数字を競技の進化を示す素晴らしい兆候だと表現しました。日本戦の会場は9000人規模ですが、ホームの熱がそこに凝縮されると考えれば、決して楽な環境ではありません。日本代表がこの雰囲気に飲まれずに立ち上がれるかどうかが、最初の関門になります。

日程と観戦情報

グループAの日本代表は、9月4日にマリ戦を迎えます。ドイツ戦は日本時間の9月6日未明、スペイン戦は9月8日未明の予定です。ドイツはスペインとの開幕戦を経て日本と対戦し、9月7日にマリと当たってグループステージを終えます。決勝は9月13日です。日本国内でも配信と放送が用意されていますので、時差はありますが追いかける手段は揃っています。開幕前のこの数日で、ドイツの状態がどこまで戻るのか。その答えが、日本の8強への道筋にそのまま跳ね返ってきます。

※FIBA女子バスケW杯2026

引用:https://abcnews.com/Sports/wireStory/hopes-high-expectations-low-germany-prepares-host-womens-136115283

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