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なぜ中国はアメリカ戦を前に主砲を失ったのか、パスポート紛失という異変

 

FIBA女子バスケットボールワールドカップ2026が、9月4日にドイツ・ベルリンで開幕します。その直前に、優勝候補の一角である中国から、コート上の出来事とはまったく無関係な理由で主力が離脱するという知らせが届きました。ダラス・ウィングスに所属するセンター、李月汝(リー・ユエルー)が、郵送中にパスポートを紛失し、大会に間に合わなくなったのです。けがでも規律違反でもなく、書類が手元に戻らなかった。第一報を読んだとき、こんなにも呆気なく世界大会が遠のくことがあるのかと、しばらく言葉が出ませんでした。

開幕を目前に届いた、本人からの説明

CBSスポーツによると、27歳の李月汝は自身のインスタグラムで欠場を明かしました。「私のパスポートは郵送中に紛失し、いまだ見つかっていません」と本人が説明しており、代替の旅券発給も開幕に間に合わなかったとされています。中国は現地時間9月4日にアメリカとの開幕戦を迎えますが、先発センターとして計算されていた選手を欠いたまま、世界最強を相手にすることになりました。

彼女がどれほどの存在なのかは、数字が語ってくれます。中国が銀メダルを獲得した2022年のワールドカップでは、決勝のアメリカ戦で19得点12リバウンドを記録し、チーム最多の得点とリバウンドを叩き出しました。2024年のパリ五輪でも、チーム最多の得点者かつ最多のリバウンダーでした。約201センチという体格を持ちながら、大舞台でこそ数字を伸ばしてきた選手です。それが、飛行機に乗る前の段階で止まってしまいました。

10年近く積み上げてきたキャリアと、中国に残る高さ

李月汝は2019年のWNBAドラフトで全体35位、アトランタ・ドリームから指名されました。2022年にシカゴ・スカイでWNBAデビューを果たし、その後ロサンゼルス・スパークス、シアトル・ストームを経て、直近2シーズンはダラス・ウィングスでプレーしています。今年はUnrivaledでもミストBCの一員として優勝を経験し、ステュワート、オグンボウェール、アリーシャ・グレイらとチームメイトになりました。代表では10年近くにわたって欠かせない存在であり続けています。

中国のインサイドが空になるわけではありません。CBSスポーツの表記で7フィート3インチ、約221センチのジャン・ズーユー(張子宇)と、約206センチのハン・シュー(韓旭)が残っています。単純な高さだけを見れば、この大会でも屈指の陣容でしょう。ただ、高さがあることと、世界大会の決勝でアメリカのインサイドと殴り合った経験があることは、まったく別の話です。中国が失ったのは身長ではなく、修羅場を知っている軸のほうでした。

開幕戦の構図が示す、この大会の不確かさ

興味深いのは、対戦するアメリカもまた、万全ではない状態で開幕を迎えるという点です。エイジャ・ウィルソンとケルシー・プラムは健康上の理由で今大会を回避しており、両国とも「ベストメンバーではない状態での初戦」という共通点を抱えています。優勝候補同士の開幕カードが、そろって欠員を抱えて始まる。それだけで、この10日間が事前の予想通りには進まないことを示唆しているように思えます。

もうひとつ、私が気になったのは、代表活動を支える事務手続きの脆さです。強化合宿でも戦術でもなく、郵便物が一通届かなかったという理由で、4年に一度の舞台が消えました。ビザ、旅券、移動手配といった裏側の作業は、普段ファンの目には映りません。けれども、それが崩れた瞬間、選手のキャリアの一章がまるごと失われます。今回の件は、代表チームの運営体制そのものに対する静かな警鐘でもあると感じています。

日本代表の試合日程と、この先の注目点

日本代表は、日本時間9月4日18時30分にマリと初戦を戦い、9月6日1時に開催国ドイツ、9月8日0時50分にスペインと対戦します。中国とはグループが異なるため、両国が顔を合わせるとすれば決勝トーナメントに入ってからになります。中国が李月汝を欠いた状態でどこまで勝ち上がるのか、そしてジャン・ズーユーがその穴をどれだけ埋められるのかは、日本にとっても他人事ではありません。開幕戦のアメリカ対中国は、今大会の勢力図を占う最初の材料になりそうです。

※FIBA女子バスケW杯2026

引用:https://www.cbssports.com/wnba/news/li-yueru-china-womens-basketball-fiba-world-cup/

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