WNBAはFIBA女子バスケットボールワールドカップのため中断に入りましたが、その直前に、順位表よりも静かに、しかし確実に注目を集めている数字があります。インディアナ・フィーバーの1試合平均97.0得点です。レギュラーシーズン残り4試合という時点でのこの数値は、2010年にフェニックス・マーキュリーが記録したリーグ最高の93.9得点を3点以上も上回っています。個人の得点王争いでもMVP投票でもなく、チームの得点力そのものが16年破られなかった壁を越えようとしている。これは今季のWNBAで最も見過ごされている異常事態だと感じます。
25.0点と22.5点、二つのエンジンが回し続けた40試合
この平均得点を支えているのは、明確に2人です。ケルシー・ミッチェルは1試合平均25.0得点でリーグ2位、ケイトリン・クラークは22.5得点で3位につけています。首位はエイジャ・ウィルソンですが、そのウィルソンを擁するエーシズを含め、2人の得点源を同時にトップ3圏内へ送り込んでいるチームは他にありません。
象徴的だったのが8月です。フィーバーは5試合連続で100得点を挙げ、WNBA史上初となる記録を打ち立てました。それまで4試合連続すら誰も達成していなかったことを考えると、単なる好調では説明がつかない水準です。この5連勝の間、クラークは平均29.4得点9.0アシストを記録しています。1人がボールを持ち続けて点を積む形ではなく、得点者とお膳立て役が試合ごとに入れ替わる。だからこそ相手は的を絞れず、100点が連続したのだと見ています。
2010年のマーキュリーとは、そもそも土俵が違う
比較対象となる2010年のマーキュリーは、ダイアナ・トーラジを軸に走り続けた速攻志向のチームで、そのシーズンに優勝まで駆け抜けました。当時のレギュラーシーズンは34試合です。対して今季は44試合。10試合分も長い日程のなかで平均得点を落とさずに走り切ることは、34試合を全力で駆け抜けるのとは負荷の質がまったく違います。
加えて、この16年でWNBAの守備は明確に組織化されました。スイッチを多用したピック&ロール対応も、3ポイントを消しにいくローテーションも、2010年当時より遥かに洗練されています。それでも97.0という数字が出ているという事実は、フィーバーの攻撃が守備の進化を上回っていることを意味します。トーラジ時代の記録が「その時代だから出せた数字」だとすれば、今季のそれは「守られたうえで出している数字」です。価値としてはむしろ重いと考えます。
残り4試合で必要な平均は、おそらく63点前後
ここで簡単な計算をしてみます。40試合で平均97.0得点なら累計は約3880点。44試合で93.9を上回るには約4132点が必要ですから、残り4試合で252点、つまり1試合あたり63点ほど取れば記録は更新される計算になります。フィーバーが1試合63点で終わる展開は今季ほとんど見られていません。記録更新は、事実上ほぼ確定していると言っていい状況です。
むしろ焦点は、その先にあります。プレーオフに入れば守備の強度は跳ね上がり、平均97点の攻撃が90点を割ることも珍しくありません。中断を挟んでリズムを取り戻せるか、そしてワールドカップでベルリンに渡るクラークが、代表戦の消耗を抱えたまま4試合と短期決戦に臨むことになる点は、リスクとして無視できないはずです。レギュラーシーズンの記録と10月の結果は、必ずしも同じ方向を向きません。
再開は中断明け、ベルリンの10日間を挟んで
FIBA女子バスケットボールワールドカップ2026は9月4日から13日まで、ドイツ・ベルリンで開催されます。クラークはアメリカ代表として参加予定で、フィーバーの残り4試合はその後に組まれています。記録が達成される瞬間を見届けたいファンにとっては、W杯の10日間そのものが前哨戦になります。97.0という数字がどこまで持ちこたえるのか、中断明けの初戦から目が離せません。
引用:https://sports.yahoo.com/articles/indiana-fever-course-shatter-wnba-084500046.html

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