カニンガム

100万フォロワーを生んだ“指差し”はグッズにできない──WNBA選手会がカニンガムのバズ画像を「侮辱的」として商品化を拒んだ異例の判断

 

WNBAでこの1カ月、最も拡散された画像が「公式グッズ」にはならないことになりました。ソフィー・カニンガムが古巣の元同僚ディワナ・ボナーへ向けた“指差し”の一枚です。ミームとして世界中に広がり、カニンガムのInstagramフォロワーはこの騒動をきっかけに100万人近く増えたと言われます。ところが、その熱狂に最も冷静な視線を送っていたのは、ほかならぬ選手たち自身の組織、WNBA選手会(WNBPA)でした。バズを収益へ変える絶好の機会に、選手会はあえて「待った」をかけたのです。第一報に触れたときの率直な感想は、これはいかにもいまのWNBAらしい、とても複雑なニュースだ、というものでした。

選手会が商品化を「禁止」、理由は“侮辱的”

スポーツビジネス記者のダレン・ロベルの報道によると、WNBA選手会は公式ライセンシーに対して、カニンガムの指差し画像を商品に使うことを禁止しました。選手会はこのジェスチャーを「侮辱的(derogatory)」と評したとされます。選手会はFront Office Sportsの取材に対してこの報道を否定せず、広報担当者はその方針をこう説明しています。「私たちは通常、メンバー同士の対立から生まれた選手の言動を、ライセンス商品で取り上げたり収益化したりすることはありません」。選手会が抱える公式パートナーは数十社に及び、ゲームの2K、アパレルのリッズやブレイキングT、トレーディングカードのパニーニといった大手が名を連ねます。つまりこれらの企業は当面、あの一枚をプリントしたTシャツやカードを堂々とは売り出せない、ということになります。

すべては6月24日の“もみ合い”から始まった

騒動の発端は、6月24日のマーキュリー対インディアナ・フィーバー戦でした。昨季わずかな期間だけフィーバーで同僚だったカニンガムとボナーが、コート上のもみ合いのなかで互いを指差し合ったのです。しかもこの試合では、ボナーの婚約者でもあるアリッサ・トーマスがクラークの喉付近を打ち、のちに遡及的な出場停止処分を受けています。この“指差し”は単なる挑発ではなく、クラークをめぐる因縁と一体になった象徴的な場面だったわけです。カニンガムはその後もこの瞬間を積極的に活用し、今月はUFC 329にリングガールとして登場しました。画像は著名人やほかの競技のアスリートにも使われ、6月下旬にはホワイトハウスの公式アカウントまでもが動画に採用しています。カニンガム自身は7月3日、その反応を問われて「世界中の誰もが投稿している」と語り、特別視していない様子でした。まさに“国家的ミーム”へと膨れ上がったのです。

皮肉と、選手たちのジレンマ(独自考察)

興味深いのは、この判断がカニンガム個人の収益化まで止めるものではない点です。選手会は全選手と一括でグループ・ライセンス契約を結んでおり、パートナー企業は個別交渉なしに選手のNIL(名前・肖像などを使う権利)を利用できます。しかし選手会が承認を出さない場合でも、選手個人は好きなブランドと直接スポンサー契約を結ぶことが可能です。選手会も、選手が自ら商品を作りライセンスするのは当然自由だ、と明言しています。ここに、いまのWNBAが抱えるジレンマが凝縮されています。選手たちは労使交渉(CBA)で「もっと正当に稼がせてほしい」と声を上げ続けているのに、その組織自身がリーグ史上まれに見るバズの商品化にブレーキをかけた。仲間であるボナーへの配慮を優先した判断には筋が通っている一方で、みすみす収益機会を逃したという見方も必ず出てくるはずです。ファンの間で賛否が割れるのは間違いありません。

この夏のWNBAは話題が尽きない

WNBAは7月25日、シカゴのユナイテッド・センターでオールスターゲームを迎えます(放送はABC)。ケイトリン・クラークとベッカーズがそれぞれのチームを率いる、ファン投票の主役同士が真っ向からぶつかる一戦です。“指差し”の当事者カニンガムを含め、この夏のWNBAはコート内外で話題が尽きません。オールスター前後の各選手の言動や、この商品化問題がどう決着していくのかにも、ぜひ注目してみてください。

引用:https://frontofficesports.com/sophie-cunningham-wnba-pointing-licensing/

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