シカゴ・スカイが9月2日、ケイト・マーティンとデベロップメンタル契約(育成契約)を結んだと発表しました。ロサンゼルス・スパークスから戦力外を通告されてわずか数日での再契約です。シーズン残り4試合、しかもスカイはすでにプレーオフ進出の可能性が消えているタイミングでの補強で、一見すると地味な動きに映ります。ただ、この一手には来季を見据えた明確な計算があり、そして何より、3年目にして4つのユニフォームに袖を通すことになったガードの執念が透けて見えます。
LAでの17試合、平均2.3得点という数字が語ったもの
マーティンがスパークスで残した数字は、決して華やかではありませんでした。17試合に出場して平均2.3得点1.1リバウンド、フィールドゴール成功率37.1パーセント、3ポイント成功率30.8パーセント。スパークスには育成契約からスタートして通常ロースターに昇格しましたが、出場機会は最後まで安定せず、8月末に放出されています。
3ポイントは彼女の生命線でした。ラスベガス・エーシズでのルーキーイヤーには35.5パーセントを記録しており、その精度が二桁差の残り時間を任される根拠になっていました。それが30.8パーセントまで落ちれば、シュートの上手いロールプレーヤーという評価は成立しにくくなります。通算では平均4.2得点2.0リバウンド、出場時間は12.9分。数字だけを見れば、リーグに残り続ける保証はどこにもありません。
エーシズ、ヴァルキリーズ、スパークス、そしてスカイ
それでもマーティンの3年間は、実力よりも制度に振り回されてきた側面があります。2024年ドラフト2巡目でエーシズに入団し、優勝チームのベンチで1年目を過ごしました。ところが翌年のエクスパンションドラフトでプロテクトされず、ゴールデンステート・ヴァルキリーズの創設ロースターへ。そこではベンチの主力として存在感を示し、ファン人気も高い選手でした。
にもかかわらず、そのヴァルキリーズが5月に彼女を放出します。当時この決定は多くのファンを驚かせました。そこからスパークスに拾われ、また切られ、9月にシカゴへ。トレードでの移籍が一度もないまま、エクスパンションと契約整理だけで4チーム目というのは、WNBAのロースター事情の厳しさを象徴する経歴だと思います。ロースターは12人前後、シーズン中の入れ替えは容赦がありません。
育成契約12試合という新CBAの設計と、スカイの本当の狙い
今回結ばれた育成契約は、新しい労使協定(CBA)で導入された枠組みです。各チームが最大2人まで保有でき、育成契約の選手は12試合まで出場できます。それを超える場合は通常契約への切り替えか、解雇かの二択になります。さらに他チームは育成契約選手に通常契約を提示して引き抜くことが可能で、元のチームがロースターを空けてマッチしない限り移籍が成立します。スカイはまさにその形で8月にマディ・ウェストベルドをフェニックス・マーキュリーに引き抜かれ、育成枠が1つ空いていました。
つまりスカイにとって残り4試合は、来季に向けたトライアウトです。育成契約で今のうちに囲っておけば、来季の交渉権を保持できます。この球団は将来の指名権を大きく手放してきました。2026年の自チーム指名権はミネソタ・リンクスが持っており、その枠で新人王候補のオリビア・マイルズが指名されています。2027年はワシントン・ミスティクスとのピックスワップ権が絡み、2028年の指名権もミスティクスの手にあります。ドラフト以外で戦力を探すしかない状況で、実戦経験のあるガードを試せる育成枠は、理屈の通った使い方です。スカイは公式SNSで「welcome to The Chi, Kate!」と歓迎の言葉を投稿しました。
残り4試合で何を見せるか
マーティンにとっては、来季のロースターを賭けた4試合になります。見るべきはやはり3ポイントの試投数と成功率、そしてボールを持たない時間の動きでしょう。エーシズ時代に評価されたのは、スペーシングとディフェンスでの読みでした。短い出場時間でその原型を取り戻せるかどうかが、5度目のチーム探しを避ける条件になります。
スカイの2026年シーズンはすでに消化試合ですが、こういう時期にこそ、契約と生存をかけた選手の必死さが見えます。今季のWNBAレギュラーシーズンは9月中旬に閉幕し、直後にプレーオフが始まります。ドイツ・ベルリンで9月4日に開幕するFIBA女子ワールドカップと合わせて、9月のバスケットボールは見どころが重なります。
引用:https://chicago.suntimes.com/chicago-sky/2026/09/02/sky-sign-kate-martin-to-development-contract

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