オルレアンのパレ・デ・スポールが、試合終了のブザーと同時に沸き返りました。8月23日に行われたフランス対セルビアの強化試合は、フランスが91対90で競り勝ち、3日前にベオグラードで喫した90対87の敗戦にきっちり借りを返しています。決勝点はジェイレン・オアールのレイアップ。残り4秒でリードを奪われたところからの逆転劇でした。強化試合という位置づけながら、ビクター・ウェンバンヤマとニコラ・ヨキッチという現役最高峰のビッグマンが最後の1プレーまで削り合った40分で、正直なところ予選本番より濃い内容だったというのが第一印象です。
前半で19点差、それでも1点差まで縺れた終盤
クォーター別スコアは27対22、27対13、14対27、23対28でした。フランスは第2クォーターで27対13と圧倒し、前半終了時点で54対35と19点のリードを築いています。ところが第3クォーターにセルビアが14対27と押し返し、6点差まで詰め寄って最終盤の乱戦へなだれ込みました。
ウェンバンヤマは18得点。2点シュートは6本中5本、フリースローは9本中8本という高い効率で、その一方で3ポイントは4本すべて外しています。ディフェンスリバウンド5本にブロック2本を加え、ヨキッチのシュートを連続で叩き落とす場面もつくりました。フランスではシルバン・フランシスコが20得点、うち8点を第4クォーターに固め、3ポイント7本中4本、フリースロー7本中6本と勝負どころで数字を残しています。ティモテ・ルワウ・カバロも19得点、フリースロー10本中9本という集中力でした。
セルビアはヨキッチが34得点13リバウンドのダブルダブルです。2点シュート19本中8本、3ポイント4本中1本、フリースロー18本中13本。最終クォーターに何本かフリースローを落としており、1点差の結末を思えばここが分岐点だったと言えます。ニコラ・ヨビッチも13得点5リバウンドと二桁に乗せました。
決着は残り4秒。マルコ・グドゥリッチがバスケットカウントを沈めてセルビアが逆転しましたが、フランスの最後の攻撃でセルビアの守備がフランシスコに集まり、フリーになったオアールが時間とともにレイアップを流し込んでいます。
ベオグラードの敗戦から何が変わったのか
3日前、ベオグラードでの初戦はセルビアが90対87で勝利しました。あの試合のヨキッチは20得点9リバウンド8アシスト、対するウェンバンヤマは10得点5リバウンド2ブロックで6ターンオーバーという内容で、フランスの新キャプテンとしては苦い立ち上がりでした。
その3日後、ウェンバンヤマは得点を10から18へ伸ばし、2点圏とフリースローで確実に積み上げる形に切り替えています。3ポイント0本という数字は残りましたが、無理な状況からの長距離砲に頼らず、リムまで押し込んでファウルを引き出したという意味では、内容は明確に改善しています。ヨキッチが34得点13リバウンドと個人の数字をさらに伸ばしながらチームは敗れた、という結果も対照的でした。
3ポイントの取捨選択が、次の一年を左右します
ここからは筆者の見立てです。ウェンバンヤマにとっての課題は、能力ではなく試投の選び方にあります。今回の試合で3ポイント0本4試投という数字は、裏を返せば「その4本を打たずに済ませていれば」という議論を呼ぶ材料になります。2点シュート5本中5本相当の高効率と、フリースロー9本中8本という数字が同居している以上、リムから離れる回数を意図的に減らすだけで得点効率はもう一段上がるはずです。スパーズにとっても、彼が「打てるから打つ」から「効くから打つ」へ移行できるかどうかが、2026-27シーズンの伸びしろに直結します。
一方のヨキッチは、個人としては文句のつけようがない一方で、フリースロー18本中13本という数字が示す通り、勝負どころの精度で取りこぼしました。セルビアは総合力で押せるチームだけに、こうした細部の1点が予選の順位を分けることになります。
両国の予選日程と、NBA開幕までの流れ
フランスはグループDを5勝1敗の首位で走っており、8月27日にホームでスロベニア、8月30日にアウェーでスウェーデンと対戦します。セルビアは2次ラウンドのグループBで3勝3敗の3位につけ、8月28日にホームでアイスランド、8月31日にアウェーでイタリアと戦う日程です。欧州の2次ラウンドは各組上位3チームが2027年のワールドカップ出場権を得る仕組みで、残り6試合が3つのウィンドーに分かれて消化されます。
NBAの2026-27シーズンは10月に開幕予定で、ウェンバンヤマのスパーズもヨキッチのナゲッツも、この夏の代表戦を経てチームに戻ることになります。代表の舞台で交わった二人が、今度はレギュラーシーズンでどんな再戦を見せるのか、開幕までの2か月が一段と楽しみになりました。

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